【第407話】商売繁盛と長寿を生むネーミングの勘所
「考えてみたら、型式ではない商品名を付けたのは初めてのことかもしれません」と社長。自社看板の新商品を企画開発し、ご自身でネーミングして世に打ち出しました。
面白いことに、自社の商品やサービスに名前を付けたことがない経営者が多いという現実があります。
というのも、商いが製造業やエンジニアリング業で、技術や能力をそのまま売っているような場合、お客様との取引は“仕様”であるため、それにわざわざネーミングする必要性が生じなかったりします。
あるいは、商いが流通販売業であれば、商品名はメーカー側で付けてくるので、こちら側で商品に名前を付ける必要性が生じません。
ちなみに、経営に独自性があれば、その部分を表現するために何らかのネーミングがあるものです。
ここで、ビジネスのレイヤーを上げて、自社看板の商品サービスを企画開発して販売していこうとした際、商売を仕上げる上での難関が“ネーミング”です。
当然のことながら、自社看板の商品サービスであれば、商品やサービスに名前を付ける必要があります。
そして、その名前は何でも良いのではなくて、その商品サービスのウリ文句としてネーミングされるべきことです。
これはある意味、商品サービスの仕上げともいうべき大切なことであることは言うまでもありません。ところが、多くの新商品・新サービスがネーミングで失敗します。
この失敗の原因はとてもシンプルな法則に拠ります。それは、商品で一工夫したことを現そうとして、ネーミングでも、もう一ひねりしてしまうのです。
とても単純なことですが、商品名、サービス名というのは、お客様に商品サービスの購入理由をお伝えするためにあります。
それならば、シンプルに、フツーに、コテコテにネーミングする意識が大切なことは言うまでもありません。
もう少し補足すれば、分かること、伝わることが大切なのです。カッコいいとか、韻とか、見た目とか…どうでも良いことです。
ネーミングの失敗としては、難しい漢字を用いてしまって、商品名が読めないといったことや、英語、アルファベットでネーミングしてしまうことで、カッコいいけど分からないということが起こります。
少し考えれば分かることですが、商品サービスの名称は、日本語の方が良いに決まっているのです。パッと見ただけで情報量の多い日本語がベストです。
こうしたネーミングの失敗の代表例が「代名詞」を用いてしまうことです。
商品サービス名なのですから、ネーミングにあたっては、その商品サービスを現わしていることが大切です。
ところが、商品サービスへの思い入れが強いが故に、それのことをこう呼ぶというような代名詞としてネーミングしてしまうことが起こりがちです。
この失敗をしないためのチェック方法としては、その商品サービス名を言った後に、〇〇とは…と説明が必要な場合、そのネーミングは限りなく代名詞になっています。
ただし、ネーミングにも例外があります。それは、技術的、科学的なものは、例えお客様がその用語を知らなかったとしても、その技術用語を商品名にすることに問題はありません。
お客様が知らない…がむしろ新しいを意味しますし、意味として分からないのということとは違うからです。
商品サービス名は、伝えることにシンプルですか?
商品サービス名が“代名詞”になってしまっていませんか?