【第321話】努力を無駄にしない企画の立て方

「〇〇学会で賞も取った画期的な技術なんです」、とある企業の研究担当者からのご説明には熱が入ります。聞けば、この新素材をビジネスにしていくために、商品化や販売のための連携先について検討を進めているとのこと。

 

そこで、「どんなビジネスをイメージされていますか?」とお聞きしたところ、研究担当者は、お配りいただいたご自身の研究開発報告書について細かにご説明されます。

 

ちなみに、研究者としてありがちな発想は、技術そのものが売りモノと考えがちです。実際、特許の使用料といったことで新技術をそのまま売るビジネスも可能ですから、この考えもあながち間違いではりません。

 

間違ってはいけないのは、ビジネスには種類があり、その種類ごとに事業構築の方法が違うということです。

 

この大切な入り口を間違ってしまうと、そこからいくら頑張っても上手くいかないレールの上を一所懸命に走ってしまうことになりかねません。

 

その結果は、推して知るべし。そのことに気付いていないことで、あっという間に1年、2年、3年…といった時間とおカネが消えていきます。

 

だからこそ、間違いのない入口に立っていただくために「どんなビジネスをイメージされていますか?」とお聞きしたのです。

 

当然のことながら、技術開発の計画書とビジネスの企画書では、根本が異なります。その根本とは主たる“目的”です。

 

技術開発の計画書における目的は新技術の開発であり、ビジネスの企画書とは新技術といったことをお客様のために応用して収益化していくことを企てるものです。

 

ここで大きな問題は、技術開発の計画書においても、その技術がどのように役に立つのか、どういったビジネス展開につながるのか…といったことが書いてあることです。

 

よって、読み手はこの新技術を用いて新たなビジネスが展開できるかもしれないと考えてしまいがちなのですが、そこに大きな落とし穴が待っています。

 

その落とし穴とは、担当の技術者が計画書に書いたビジネス展開とは、あくまでも考え得る可能性について言及している程度のことだということです。

 

これはある意味、良い技術が出来上がったとしても、それをビジネスに仕上げていくためには、事業構築というある種の研究開発をもう一段昇らなければならないということです。

 

技術経営、理系ビジネスにおいて、もっとも起こりがちな祖語は、技術をビジネスに転換するプロセスの脆弱性に起因します。

 

それがつまり事業構築プロセスなのですが、そのプロセスの重要な役割は、「新技術をお客様の便益に転換する」ことです。

 

大切なことなのでもう少し補足すれば、お客様は新技術そのものを買うのではなくて、その新技術がもたらす便益を買うということです。

 

一つだけハッキリ言えることは、どんなビジネスの種類を目指す場合であっても、新技術を最終的なユーザー・お客様にもたらす便益に転換できない限り、その新技術は日の目を見ることはありません。

 

中小ベンチャーの新事業の企画にあって、分厚いパワーポイント資料など要りません。A4サイズ1枚でも十分なほどです。

 

新事業の企画にあたって大切なのは「技術の応用・用途」であり、その応用・用途が便益を生み、その便益を欲しいと思ってくれるのが新市場だということです。

 

こんな応用も、あんな用途も…と言っているようでは、まだビジネスに仕上がっていません。その新技術を最も欲しいと思うお客様に使っていただけるカタチに仕上げなければなりません。

 

そういう意味で、技術開発の計画時点でビジネスを企画しておくことが肝心であり、そのためには、最初から技術の応用・用途を設定しておくことが成功への近道です。

 

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