【第269話】「作る」と「売る」のキャッシュポイントの違いと高収益化の手順

「そういった意味で、当社は製造メーカーというよりも実は小売業なんです」と仰るのは、とある飲料メーカーさん。素晴らしいこだわりの商品をお持ちですが、その特徴的な事業モデルにこそ強みを持っておられます。

 

ちなみに、業種や業態といった産業分類が一般的ですか、こと経営者の立場からビジネスを分類するならば、自社が「作る」なのか「売る」なのかという意識が大切です。

 

そして、先に答えからお伝えすると、新事業構築や高収益化を考えるならば「「作る」に軸足を寄せる」ということです。そのためにも、「作る」と「売る」という商売の特徴、違いをしっかりと理解しておくことが大切です。

 

とても簡単なことですが、商売は最終的に使用者が“購入”してくれて初めて成り立つものです。商流を「素材→製造→卸売→小売→使用者」と考えて頂ければ、どんな商売も最終的に使用者がその経路におけるすべての代金を負担してくれることで成り立っているということをお分かりいただけるものと思います。

 

概ねこの上流側の素材や製造が、いわゆる「作る」ビジネスであり、下流側の卸売や小売が「売る」ビジネスということです。

 

そして、「「作る」に軸足を寄せる」という意識は、上流側に立ち返って一工夫してみることが大切ということでもあります。

 

ここで、「作る」ビジネスの稼ぎ方は、“粗利”です。何らかの材料を仕入れ、それに加工を施すことで価値を付加することで“粗利”を生み出すことを目指します。これは、商品サービスの質的な向上を目指すことでもあります。

 

一方で、「売る」ビジネスの稼ぎ方は、“手数料”です。「作る」側から見れば販売代行ですし、使用者から見れば購買代理であり、その手数料が掛値ということです。率が決まっているため、どうしても量的な拡大を目指しがちです。

 

ちなみに、「売る」ビジネスに携わっておられる方からは、「商品を現金化してあげている」、「在庫を持ってあげている」、「お客様まで届けている」といった声が聞こえてきそうです。

 

もちろん、そのご意見を違うなどと申し上げているのではありません。商流の全体を見渡して付加価値の源は上流側にあるという事実をお伝えしているにすぎません。

 

バブル崩壊以降の日本において、新しい事業モデル、新業態といわれてきたものの多くが、「売る」に着眼されたものでした。例えば、ディスカウントストア、ホームセンター、ドラッグストア、ネットモール…、新たな切り口で多くの「売り方」が登場してきました。

 

ところが、この新しい「売り方」ビジネスの多くのが効率化を念頭に置いた「安売り」であったことによって、世の中の商売がどうなってきたのかということは推して知るべしです。

 

そして、既存マーケットで安売りでシェアを奪うがごとく、新業態小売が伸びているように見えることで、どうしても経営者の意識も「売り方」に向きがちになってきました。

 

こうした状態にあってこそ、経営者は商流のどこにいようと原点に立ち返り最終の使用者にお届けする便益を高めようと創意工夫することが大切です。これこそが「作る」に軸足を置く意識ということです。

 

もちろんのこと、それを効率的にお届けできることは大切ですが、そういった効率化思想が安価と置き換えられてしまい、安ければよいだろうといった思考ループに商売の未来がないことは明らかです。

 

昨今は、こういった小売価格をコントロールするために、様々な分野で小売機能を持った製造業、いわゆる製造小売が台頭しているのは喜ばしいことです。

 

「作る」ことで付加価値を構想し、「売る」ことでその価値をお客様までお届けする。こういった商売の全体を、例え小さかったとしても自社で実装できる時代です。そんな幸せな時代なのですから、それをやらぬは損というものです。

 

前述の飲料メーカーさんも、こう続きます。「売れる商品を企画開発する自信があります」…と「作る」を起点にお持ちです。

 

付加価値アイデアを優先しつつ、効率化アイデアを粛々と実装する。経営を強くしていこうとするならば、この順番意識が大切です。

 

売ろうとする前にお客様の付加価値を作ろうとしていますか?

作るだけでなく、自分で売ろうとしていますか?

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