【第24話】販売不振への正しい対処法
企業の行き詰まりの原因が「販売不振」と言われることがあります。信用調査や与信評価という外部視点で見ればそうかもしれません。
しかし、経営を内側から考えなければならない我々の立場からすると、この解釈は正解とは言い難いように思います。販売不振は症状であって原因ではありません。
売りモノさえ良ければ、勝手にどんどん売れていく。。。という妄想はキッパリと捨てて、売りモノと売り方の両輪を企画開発していかなければならない時代であることを認識しておくことが大切です。
販売に陰りが出てきた、販売が思うように伸びない。。。という状況にあって、皆さまはどんな取組から手を着けるでしょうか?
ここで多くの方は「販売」の方法に原因があると考え、何とかしようとします。それはそうです。今、売っているモノは良いモノだと思って売っているのですから当然です。良いモノなのに売れない。。。と。
ウチの営業はダメだから研修をしてもらえませんか。。。
販路の拡大策としてネットで売ろうと考えているのですが。。。
何か良い広告の方法はありませんか。。。
どれも直ぐにできますので、やってみればいいと思います。ただし、これらだけで業績が回復したり伸びたりすることは先ず無いと断言できます。
その理由は簡単です。販売の不調はあくまでも症状だからです。症状への対処療法では根本的な改善を期待することはできません。
販売にもう一段のテコ入れをしたいならば、今の商品ではお客様への“引っ掛かり”が弱いという事実から出発することです。何かもう一つ訴求力を上げてから、あるいはコンセプトを整え直してから販売策を展開しない限り、販売拡大どころか、営業のアポイントさえも取れないと考えるべきでしょう。
初回の面談では、このような販売手法レベルのご相談から始まることが多いのも事実です。簡単に、手っ取り早く売上げが上がる“方法”を教えて下さい。。。という感じです。
そして、採算が振るわない要因については、材料仕入の値上がり、地域の人口減少、大口販売先の業績低下。。。といった外因を上げられます。事実だと思いますので間違いではないのですが、現状を変えるために必要な情報としては不足しています。経営環境分析は必要ですが言い訳探しになってしまっては意味がありません。
ところが、大抵の場合、面談が進むにつれ心境は変わっていかれます。方法探しの旅に終止符を打ち、販売不振の原因を自身・自社に求めるようになられます。現状を全体感を持って捉え直していこうとされます。
売り上げが低下しているのは、どの客層か、それは外的な要因か、当社の問題か。。。
売り上げが伸びない原因は売りモノなのか、売り方なのか、売り先なのか。。。
販売とはこれまでの努力という在庫を現金化する行為です。売りモノを作るだけでもダメ、販売を考えるだけでもダメ、売上となって現金になるところまでを設計しなければならない時代なのです。
販売不振を感じたら自社の全体を立ち止まって見渡すことが有効です。そしてその際、主体性を持って見渡すことが肝要です。
主体性意識が低いままで物事を進めると、売上創りではなく、仕事探しに奔走することになってしまいます。
売り先はないか、売れるモノはないか。。。といった発想で売上を探すと、大抵は取り組むべき事、解決すべき原因が見えなくなります。
外的な要因は全て前提です。主体性意識の高さが望む結果をもたらします。
御社では売りモノの引っ掛かりをもう一段上げる検討をしていますか?
主体性を発揮して現状改善にあたっていますか?