【第21話】頼りになる企業の強さの源

新しいビジネスを立ち上げようと考えれば、大きさの如何を問わず準備だけでも数年。開始してからも、あっという間に3年や5年が経ってしまいます。

 

それだけの「時間」という最も大切な財産を投資するのだという事について、一旦立ち止まって考えてみることが大切です。

 

中小企業や小規模事業者で新規事業を立ち上げれば、ほぼ社長ご自身、事業主ご自身の時間を“費やす”ことになるのです。大企業のように、異動で後任者にお任せできる訳ではありません。

 

時間を費やすということは、少し大袈裟な言い方をすれば、限りある人生を費やすということです。

 

そう考えれば、何か適当な事業に時間をかけてもいられませんし、じっくり考えながらも急がなければならないように感じてきます。

 

仕事柄、多くのご相談をお受けします。この事自体が私のやりがいであり、とても嬉しく楽しい時間です。だからこそ、厳しい意見を述べさせて頂くこともあります。

 

特に初回の面談でお話をお聞きする中で、気になる点をまとめてみると以下の三つに集約されます。

・なぜ、その事業をやろうと考えたのですか?

・このお話の先はどう展開していきますか?

・そのために目標とする利益はどの程度ですか?

 

なぜ、その事業をやろうと考えたのですか?という質問に答えるのは難しいことです。内発的な思いから事業の着想に至っている方は、なぜこの事業をやろうと思ったかなど、言葉が見当たらずそう簡単に説明できるはずがないのです。

 

何かこれだと感じているにも関わらず、どう具現化していけば良いか分かりあぐねているから困っているのです。フェノタイプな事業構想とは至ってそういうものです。ですからコンサルタントと一緒に突破口を見出そうとしている訳です。

 

稀に、この質問にスラスラと市場分析的にお答えいただくことがあります。頭脳明晰、すごいなと思います。同時に、この方は事業を金儲けの手段だと考えているな。。。と感じてしまいす。事業への取組意欲が市場性、つまり外発的なのです。

 

このような方は基本的に頭が良く嗅覚に優れ、どうだ誰も気が付かなかっただろうと言わんばかりに着眼と行動力で稼ぐタイプです。これはこれで経営という観点からはプロな訳で素晴らしい能力だと思います。

 

しかし、私がお付き合いさせていただいている経営者方はちょっと毛色が違います。自分達の仕事に誇り、愛着といった類の感情をしっかりとお持ちです。会社としての軸を育てていくことを中心に考えているため、儲かれば何でも良いわけではありません。

 

事業ですから徹底した市場分析も重要ですが、そこに自発的な意図がなく、外部の情報だけで未来構想を組み立てるのであれば、自社の存在意義とは一体何なのでしょうか。

 

人生を削っているのですから、例え小さい市場・顧客規模であっても自社の主張の場を築き上げていくことを目指す。そして次の展開のためにしっかりと儲けて、独自の軌跡を描いていく。時間を、人生を賭しているのですから、そんな艶のある自社らしい事業計画でなければ面白くありません。

 

では、自社らしさ、自社の軸とはどのような形で現れるのでしょうか。それはありきたりな言葉になってしまいますが「使命感」です。この仕事を通じて世の中に貢献していくのだと。この感覚に支えられている限り、心が折れることはありません。

 

何としてもこの事業をやりたい、続けていきたい、やらなければならない。それが当社の使命だと。。。皆様の周りで、いざという時に頼りにしたいのはどのような企業でしょうか。能力的に優れている事も重要ですが、使命感を持ってそこにしっかりと時間を費やしてきた企業ではないでしょうか。

 

使命感を大切にされている経営者には何ともいえない重みがあります。職業人にとって最高の瞬間は使命に適った仕事ができた時です。社員を幸せにしたければ社長として使命を示し、一貫性を維持していくことが肝要です。

 

御社の使命は大切にされていますか? 社員の中に使命感は受け継がれていますか?

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