【第200話】10年成長を手に入れる新事業の絶対条件

「〇〇の新事業で苦戦している社長がいるから、ちょっと相談に乗ってあげてくれませんか?」

 

存じ上げている経営者の方々から、お声がけをいただきます。こういった際は、折角のご縁ですから、少し調べて考えて一言お伝えするようにしています。そして、苦戦の理由は意外と簡単に見つかります。

 

苦戦の理由…、事業を伸ばせない経営者に共通しているのは、この足りてる時代にまだ「モノを売ろうとしている」ということです。

 

実際、こうお伝えすると、大抵の場合、「…?」となります。この反応は至極当然のことでしょう。なぜならば、この点が分かっていないということを分かっていないからです。

 

少し言葉が悪いかもしれませんが、この時代に「モノを売ろう」とお考えの経営者は、事業の前提となる状況についてのご認識から改める必要があります。

 

今の時代、基本的に「足りてる」のです。

 

人はお腹が減る…からといって食品が売れて、飲食店が繁盛するでしょうか。売れる食品にも繁盛飲食店にも、それなりの理由があるということはお分かりいただけるでしょう。

 

新事業を伸ばしておられる、とある経営者は、その新事業を始める前にこんな表現をされていました。「例えばネット上の商品のほとんどは売れないで終わる、いわば墓場みたいなものだ」と。

 

こういった正しい現状認識がヒットを生む原動力になっているということです。

 

顕在化している市場というのは、既に「基本的に満たされている」状態にあるのです。そんな中で、さらに新たな売上を創ろうとしているという認識を持つことが欠かせません。

 

では、事業を伸ばす経営者は何を売っているのか。そのヒントは「自社が提供している商品・サービスは、お客様にとっては何らかの“結果”を手に入れるための“手段”」だという構図です。

 

商売の売りモノのレイヤーが違うのです。その先にある“結果”を売っているのです。

 

有名な高級旅館の社長は自分たちが提供しているのは「人間関係を深めること」だとおっしゃいます。つまり、この旅館に一緒に来たご家族、ご夫婦、ご友人が、もっと絆を深めて帰られることに対してサービスしているということです。

 

あるいは、家族経営で繁盛されている湯治のお宿は、「実家みたいな気持ちでくつろいでもらって、心と体を整えて帰っていただく」サービスを提供されています。

 

これらの旅館は、「カニ食べ放題」のようにいまだ価格でモノを売っている旅館とは、似て非なる独自の商売を展開されているということです。

 

浴衣選べます、シャンプー色々あります、グラスビールサービス…、こういったことというのは、どれも発想が“手段”止まりで、本質的にどんな“結果”をお客様に提供しているのかということに何ら応えていません。

 

御社の商品・サービスが提供する“結果”こそが真の売りモノです。そのことに気付けば、お客様に訴求すべきことも、このことのはずです。

 

そして、大切なことは、この“結果”という真の売りモノは、潜在的であるが故に創意工夫次第で掘り起こすことができるということです。

 

このため、事業が“手段”どまりか、“結果”まで見据えているか…。売りモノ意識の違いは成長可能性に極めて大きな差を生むのです。

 

そういう視点に立てば、この“結果”という真の売りモノは、新たな価値観やスタイル、延いては新たな文化を提案しているものといえるでしょう。

 

高収益企業は静かに“文化”を育み、低収益企業は派手に“手段”を乱売する。そんな二極化がこれからどんどん進んでいきます。どの道を選ぶも経営者次第です。

 

まだモノを売ろうとしていませんか?

新商品・新サービスは新たな文化を提案していますか?

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