【第12話】商売繁盛の法則:節約料理や時短料理が消えゆく理由
テレビを持たない、見ない若者が増えているようです。リビングに大きなテレビがある事は一つのステータスであった時代もあったかと思いますが、昨今の家具屋さんのカタログなどでは、サイドボードに小さなテレビがちょこんと置いてあるような、スッキリ・シンプルな生活提案が増えているように見えます。
そのような中、テレビではグルメ番組が後を絶ちません。料理をつくる、料理を紹介する、食材を紹介する、お店を紹介する。こういった番組やコーナーは安定的に視聴率を獲得できるのでしょう。それは「食べる」ということが人間の根源的な欲求であると同時に楽しみでもあるからだと容易に想像がつきます。
番組制作に携わる方々は、制作コストなども考えながら次から次へとコンテンツとしての企画を考えなければなりません。過去度々、「節約料理」や「時短料理」が名前を変えながら登場してきますが短命に消えていきます。
一方、料理番組として長寿なものもあります。この短命・長寿の違いは何なのでしょうか。番組スポンサーの意向?いえいえ、もっと根元的な部分にある“違い”です。
節約料理や時短料理は、顧客つまり食べ手が不在という意味で料理の王道ではありません。美味しいかどうか、食べて幸せを感じるかどうか、もちろん健康的かどうか。節約料理や時短料理は、手段と目的をはき違えているのです。
少し補足すれば、節約料理や時短料理は、料理の“手段”の番組であって“料理”の番組ではないという事です。料理に関係する方法論の番組なのです。方法論故に直ぐに他の方法にとって代わられるのです。
仕込みとは単なる準備ではありません。食べ手であるお客様の事を考えている時間がそこには存在しているのです。
長寿の料理番組からは、その料理を食べる家族、仕事から帰ってきたお父さん、友人が集まる楽しいパーティーなどの場面が伺えます。相手を思いやりながら、どうやって手間暇をかけるか。。。思いや感謝をどう表現するか。
商売を長く続けたいと考えれば方法論の提供に留まることなく、顧客をどのように喜ばせるか、嬉しいと感じてもらえるかという本質部分について考え抜かなければなりません。
お客様のことを考え抜くという王道で勝負していくと覚悟しない限り、方法論の脇道でいつまでも時間を費やすことになります。
新事業開発、新製品開発、新商品開発、新サービス開発、とても大変な取組努力が顧客にとって方法論留まりだったとすると稼げる時間はとても短くなります。
次から次へと方法論を渡り歩いているうちにだんだんと疲弊しアイディアも出なくなります。そして。。。
だからこそ、一つ一つの開発を方法論で終わらせることなく価値提供レベルまで持ち上げて企画・提案していきましょう、と常々申し上げている訳です。
個性的な若者が作り方を習得して開いたラーメン屋さん。下積みを経て地域の企業戦士のために開いたとんかつ屋さん。全部がそうではありませんが、前者は私の代わりにラーメンを作ってくれる作業代行サービス、後者は私の生活に艶と元気を与えてくれる価値提供サービス。
料理が早く出てくるのはとても嬉しいサービスですが、前者は席の回転率向上、オペレーション効率重視。後者は企業戦士が昼休みの時間を有効に使うための顧客重視。同じ“早い”であってもサービスの顔つきが違います。
方法論留まりの作業代行レベルで良いと考えるか、顧客の事を考え抜いた価値提供レベルを目指すかが商売の顔つきとなって表れ、これが結果として短命・長寿に大きな影響を与えます。
御社が提供する製品・サービスは方法論に留まっていませんか?お客様の「価値」として企画・提案できていますか?