【第109話】強い成長を手に入れる「設備投資」の基本原則

経営が突き詰めれば“投資”である以上、企業の命脈を保つために“投資”が欠かせません。

 

“投資”の中でも、特に金額が大きく回収期間も長い「設備投資」は、成長発展を運命づける極めて重要な決定事項です。

 

それ故、経営の失敗も“投資”によるところが大きく、またその資金の多くを借入で賄っていたとすれば、資金ショートにより経営にピリオドを打たなければならない事態につながりかねません。

 

「設備投資」の特徴は、何といっても一旦実行してしまうと元に戻せないという点です。「やっぱりやーめた」とか、「もう一回やり直しー」という訳にはいかないのです。まさに後悔先に立たずという訳です。

 

だからこそ、「設備投資」を実行するその前に、しっかりと考えるべきことを考えておきませんか、と常々お伝えしています。

 

もちろん、転売可能な設備への投資であれば、経営不調時には転売するということも考えられます。ですが、苦しい状況下での転売になるため交渉上の立場が弱く、よって、簿価以上での転売は難しいと考えておくべきでしょう。

 

多くの「設備投資」を企画してきましたし、拝見してきました。そういった中で、「設備投資」を成功させるためには基本原則ともいえる考え方があります。

 

社運を賭けた「設備投資」が成長発展をもたらすための条件ともいえるこの基本原則は、絶対に考えておいて頂きたいのです。

 

まず、当然のことながら「設備投資」を企画するとは、しっかりと勝てる勝負に仕上げていくということです。

 

ここで勝てるとは、売上の拡大ではありません。投資に対してしっかりとした利益、つまり投資リターンが見込めることです。

 

とても単純なことなのですが、投資によって設備キャパシティを増やせば、そのキャパシティを使って、売上を一定程度、向上させることは可能です。ですが、売上規模が拡大したとしてもそれが投資規模に追い付いてこなければ、収益性・利益率はむしろ低下することがあるということです。

 

実際に、投資に絡んで「売上を向上させながら赤字が大きくなっていく」ということが起こります。投資において、利益・投資リターンを生むということがどういう意味なのかを、正しく理解しておくことが大切なのです。

 

設備を手に入れてその設備キャパシティを売るだけならば、売価は設備費を含めた原価に収束していくだろうということです。つまり、超過的な投資リターンは生まれません。

 

今は「足りている時代」だということを踏まえれば、投資のリターンを望むまでもなく、投資回収ができるだけでも上出来という環境にあるのです。

 

そんな中で投資リターンを企画する、すなわち勝算を企てるための基本原則は『ソフトリード・ハードフォロー』です。

 

設備(ハード)さえあれば誰でもできる、という類の事業投資からリターンは生まれません。まずはどんな価値をお客様に提供するのかというソフト面をしっかりと企てた上で、それをより高度に実現するために設備(ハード)を手に入れる、という主従関係が大切です。

 

もう少し補足すれば、設備はお客様に新たな価値を提供するための手段に過ぎず、新たな提供価値を考えることなく設備だけを手に入れても、投資リターンを生むことなど期待できない構造になってしまうのです。

 

経営において「設備投資」は、ソフトリードで企画しない限り、単にお金を使って設備を買ったということでしかありません。

 

これは、投資という名の下、事業資金で単に欲しいものを買った“お買い物”に過ぎず、少し厳しく申し上げれば、この設備は投資リターンを見込めないという意味で、事業資産というよりはオモチャでしかありません。

 

御社の「設備投資」はソフトリードで投資リターンを目論んでいますか?

その設備は、未来を拓く事業資産になっていますか?

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