【第527話】テクノロジービジネスの未来と採算筋の見出し方
「日常的な業務処理にRPAを入れようということになってるんですけど、どうなんでしょうか?」と社長。
ノーコードで業務処理アプリを作れるツールなども普及し始めているため、業務効率化は永遠の命題ですからまずは使ってみてはいかがですか…とお伝えしました。
なぜ、こちらの社長が“新たなIT導入”という面白い場面にあって、あまり心が躍っていないかといえば、その理由はシンプルです。
業務の効率化は大切ですが、それによって新たな商品サービスが生まれる訳ではないことを知っているからです。
往々にして、効率化した時間を付加価値業務に回す…といったことが語られますが、それは現実的には難しい話です。
コスト削減を考えようとすることと、新たな商品サービスを生み出そうとする思考法では相いれないところがあるからです。
いずれ、経営を強く永く続けていこうとするならば、業務効率化も大切ながら商品サービスを高めていくしかないことは明らかです。
こうした観点から、次なるビジネスは…といったことで、IoT、AI、ロボット、バイオ、医療…といった成長分野が挙げられます。
当然のことながら成長市場に居ること、魚の居るところで釣りをすること…は経営上、とても大切なことですが、成長分野であるほど競争は熾烈ということでもあります。
このため、技術経営、テクノロジービジネスでは、先端分野ではなくても、もう少し成熟した穏やかな市場分野で過ごしていくこともまた正解といえるでしょう。
そうした中、新事業進出にあたって経営者が躊躇される分野があります。
それは、「航空宇宙」と「原子力」です。これらの分野についての説明は不要でしょう。
なぜ、テクノロジービジネスとして航空宇宙と原子力が最強の二大分野なのかといえばそれは想像に難くないことです。
何を言っているかといえば、将来的に宇宙に人間が住むための「スペースコロニー」が念頭にあるからです。
その前に、太陽は少しずつ膨張しており、膨張とともに地球との距離も縮まり、地球に届く光と熱が強くなっていきます。太陽から届く光と熱が強くなれば、いずれ地球は、人間や生命が住める所ではなくなってしまうと考えられています。
昨今言われる、持続可能性、サステナブル…は残念ながら有限で終わりがあります。
その意味で、全てのテクノロジービジネスは、永い目で見れば「人間が生き残るため」のものです。利己的に聞こえるかもしれませんが、人間が地球に住めなくなるその前までに、スペースコロニー技術を確立しなければ、人類には残念な結末…が待っています。
技術経営の経営者は、新事業進出、新事業展開…といったことを考える際、スペースコロニーでの利活用から逆算して、そこにつながっていれば、それは間違いなく採算筋として有望な尽きることのない技術です。
実際、先日飛んだロケットも地球を周回する宇宙ステーションも、今我々の身近にあるようなモノ、部品で構成されています。少し材料的に高価だったり、精度が高かったりしますが、特別な何か…ではありません。
少し話が壮大になりましたが、お伝えしたかったのは技術の進歩発展とはそうしたものだということです。
もう少し補足すれば、政治的多数決や世論の風潮…、時々でブレたりするような事業分野に、踏み込んではなりません。
そうした分野は一時の制度的な市場、短期的な尻拭いビジネスであり、その先につながる何かをもたらすことはありません。
御社の製品は「人間が生き残るため」のものですか?
御社の製品は未来のスペースコロニーに在りそうですか?