【第518話】次の一手がその次の布石につながる新展開の進め方

「とんでもない規模の見積依頼がきちゃったんですけど…どうしましょうか?」と社長とプロジェクトリーダー。

 

初めての自社看板製品ということで、製品開発でも細部にわたって部品材質や施工法を何度も改良し、熟成してきたところでした。

 

そして、営業面でも、WEBサイト、パンフレット、価格表、営業トークスクリプト…、出来得る準備は全てやってきたことで、着々と販売が伸び始めて喜んでいたところに、WEBサイトを見たということで、ビックリするようなお客様からビックリするような規模の見積依頼があったのです。

 

ところが、社長は「これやりますか…」と迷われていましたので、「このために準備してきたのではありませんか」とお伝えしました。

 

すぐに、訪問打合せのアポ取りをして、そのための提案書づくりと見積作業に入っていただきました。

 

もう少し、このお問合せについて補足しますと、これまでの平均的な受注金額から2桁上がっているということです。

 

不思議なもので、芯を食った製品開発ができると、一つの受注規模で2桁上…、つまり100倍といったことが起こり得ます。

 

こうした異次元レベルの受注は売上利益面でも嬉しいことですが、こと経営の成長発展という意味においては、新たなお客様との取引関係…財産だということです。

 

ちなみに、新製品、新事業、新展開…において、こうした2桁上を成し遂げているビジネスには一貫して共通点があります。

 

それは何かといえば、本業の延長線だということです。今の先…なのです。今居る分野というのは、いい面も限界も知っていますから、どうしても悲観的になりがちです。

 

一方、AI、IoT、ロボット、バイオ、ヘルスケア、宇宙…こうした先端的な成長分野というのはキラキラしていて、魅力的に見えます。

 

確かに、歴史を振り返って、石油王、鉄鋼王、鉄道王、自動車王、金融王…といった実業家は、こうした時代の大きな変革期の波に乗って生まれていることは間違いありません。

 

実際、伸びている市場にさえ身をおけば、そこに一定のお仕事が在ることは間違いのないことです。

 

しかし一方で、こうした時代の先端だったビジネスもいずれ普及が進むと世のインフラとなり、贅沢品から必需品になっていくことで、収益性が落ちていくことになります。

 

むしろ、衣・食・住といったベーシックで堅実、確実に続いていく市場にこそ、これからの発展余地があるというものです。

 

これは実に単純な話です。ビジネスの根源にある人間の欲求というのはある意味で普遍的なところがあり、そうした普遍的なところ、その高度化を探求していくことが強く永くビジネスを続けるための王道だということです。

 

今日、そのビジネスを回すことができている時点で、一日の長があります。何れかそうしたご縁があって今があるのですから、そうしたご縁は大切にした方が良いのです。

 

これまで培ってきた能力技術があって、お客様があって…、まず今あるこの財産を大切に活かし育てていくことが大切です。

 

ですから、“他”ではなく“先”を見据えて進むが吉なのです。

 

確かにその“他”にも、お客様は居るでしょう。しかし本業以外でつながったお客様は、価格のつながりであり、そこ止まりです。

 

その“先”のお客様は価値のつながりであるため、その先のお客様を連れてきてくれます。お客様がお客様をつなぎ、その声がまた新たなビジネス展開に導いてくれます。

 

次の一手がまた次の一手を生み出す…、そのためには守るべき原則があるのです。

 

本業の“先”で新展開を目指していますか?

価値でつながる本物のお客様とビジネスしていますか?

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