【第464話】展示会出展投資のリターンを最大化するための準備法
「ビッグサイトで開催される展示会に出ることにしたのですが、なんせ初めてのことで…」と興奮気味に話しながら、社長とプロマネが会議室に入ってこられました。
こちらの企業、初めての自社看板製品ができあがり、その新製品の販売も自社でやっていこうと、渾身、準備を進めてきました。
そんな中、展示会へのお声がけがあったので、まだ早いかなとも思いつつ、急遽、やってみようということになったとのこと。
「いかがでしょうか?」と若干の迷いが見えましたので、「いずれやるべきことですから、しっかりと準備してやりましょう」とお伝えし、本日のプロジェクト会議は予定を変更して、展示会出展への準備会議となりました。
こうした準備の際、大切なことは間違った入口に立たないということです。何を言っているかといえば、多くの場合、展示ブースをどのようにするか、パンフレットは何を持参するか、ノベルティグッズは…といったことから手を着けてしまいがちだということです。
初めてのことなので、当然、現場で手抜かりなきよう…という気持ちも分かります。ですが、こうした準備物に関することというのは、準備のほんの一部でしかないことを分かっておくことが大切です。
何をしに行きますか?ということです。展示会をつつがなく終えることが目標でないことは明らかです。展示会にイベント感覚で出展したならば、そこから得られる経験は、荷物置き場が足りなかった、休憩時間が取れなかった、他社のブースも見たかった…、そんな程度のことばかりになってしまいます。
安くない出展料、準備費用、人件費、出張旅費…、こうした先行投資を行うのですから、それ相応に得ようとすることを予め見込まなければなりません。
ここで、それ相応に得たいこととは「自社独自の販売法の構築」です。
新製品を成長軌道に乗せていくためには、お客様にお届けするための独自の販売法が欠かせません。
こうした独自の販売法を構築していくためには、製品開発と同様、試行錯誤、創意工夫…といったプロセスが欠かせないものです。
ですから、こうした展示会出展投資を経営レベルで投資リターンを生む活動に仕上げていくためには、こうした独自の販売法を見出してくための機会として、展示会に出展する意識が大切です。
例えば、看板Aと看板Bどちらの方が目を引いたか、展示ブースに入ってきてくれたお客様層は想定した顧客層だったか、準備した製品説明に対してお客様は想定した反応を示したか、説明して伝わりずらく補足が必要になった部分はどこか…といったことです。
これらは「アンケート調査法」として、マーケティングサイエンス分野で口酸っぱく言われていることです。
それは、「あらかじめ“仮説”を持って設問を作り、アンケート結果からその仮説を“検証”する」というものです。
こうした訓練を受けていないアンケートは見ればすぐに分かります。それは答え自体を聞こうとしてしまっているからです。
展示会はこうした仮説検証の実践演習の場です。実際に受注することも大切ですが、自社ならではの販売法を見出すための仮説検証の場として活用することが、出展投資のリターンを最大化する道です。
最後に、少しだけ。展示会主催者から出展者のアンケートを見せていただくことがあります。その際、最も目につくのが「展示会の集客力が弱い」という主催者に対するクレームです。
展示会主催者は、あくまでもイベンターであって販売代理店ではありません。展示会に見込み客をお呼びするのもまた御社の仕事です。
展示会という特殊な場でお会いすることで、会議室とは違う関係構築を目指してみてください。
展示会出展は仮設検証になっていますか?
独自の販売方法を見出すヒントを取りに行きませんか?