【第441話】お客も喜び自社も儲かる価値と価格の生み出し方
「先週のコラム、拝見しました。新事業を検討中で、もう少し付加価値について書いてくれない?」とのご連絡。
個別に「出張・企画会議」でお伺いすることになりましたが、新事業を考えていたり、新商品の販売拡大を準備していたりする際、とても大切な意識である「付加価値」について、もう少しお伝えしておきたいと思います。
まず、ビジネスの採算性、収益性…延いては成長性を生み出す“付加価値”を考えるにあたっては、大きく二つの切り口があります。
まず一つ目の切り口が、「価値ビジネス」か「価格ビジネス」なのか。もう一つの切り口が「作るビジネス」か「売るビジネス」なのかです。
まず、価値ビジネス、価格ビジネスについてですが、これは何で顧客の需要を喚起しているのかということです。
御社の営業トークを確認していただければ、御社がどちらの型なのかはすぐに分かることでしょう。
例えば、「とても良いでしょ、価格は〇円です」なのか、「安いでしょ、だから買いませんか」なのかの違いです。価値が先か、価格が先か…需要喚起の入口がどちらなのかの違いです。
もちろん、現実的に考えて、価値ビジネスだから価格はいくら高くても良い訳ではありませんし、価格ビジネスだからといって商品サービスの価値が適当で良いというものでもありません。
ですから、価値で訴求しようとしているか、価格に頼っているか…の経営意識の割合の違いということもできるでしょう。
このため、価値ビジネスでは、価値に基づいた公正妥当な価格で販売しようと努めるため、原則、値引きはしません。
もう一つの切り口が「作るビジネス」か「売るビジネス」かの違いです。
ここで、「作るビジネス」とは、商品サービス自体を作るビジネスのことです。製造業、建設、IT…といったビジネスです。
続いて、「売るビジネス」とは、取り扱う商品を売るビジネスのことです。卸売業、小売業…といったビジネスです。
これらは、付加価値の生み出し方が違います。「作るビジネス」は材料に手を加えて商品にすることで付加価値を生み出します。よって、手の加え方、創意工夫次第で高い付加価値を生み出す可能性を持っています。
そして、「売るビジネス」は、取り扱う商品を欲しい人に届けることで付加価値を生み出します。ただし、商品自体は他社と同じであるため、どうしてもビジネスが手数料的ですし、価格競争になりがちです。
大切な点なので、もう少し補足すれば、サービス業でも「作るビジネス」と「売るビジネス」があります。
例えば、飲食店でいえば、しっかりと修行を積んだ料理人がやっているレストランは「作るビジネス」、アルバイトが多勢のチェーンレストランは「売るビジネス」です。
こうした整理の上で、付加価値を高める…ことを目指そうとすれば、どういった方向性を目指していくことが肝心なのかが自ずと見えてきます。
付加価値最大化の戦略とは「価値ビジネス×作るビジネス」だということです。
大切なことなので補足すれば、「価値を作る」ことを目指すならば、それはお客様に言われたことをやれる技術、やる能力…ではない、ということです。
自らの能力技術を、お客様のためにどう活かして商品サービスを完成させるのか。商品サービスを完成させた報いとして、御社に価格の決定権がもたらされ、その結果、高付加価値が実現されるのです。
付加価値視点で新事業を考えていますか?
経営を拡げるよりも高めませんか?