【第80話】収益性を高める“戦略”の磨き方

「なぜ」この打ち手を展開したのですか?と行動の理由をお聞きすると、その企業や経営者殿の“戦略”が良く分かります。なぜなら“戦略”とは考え方だからです。

 

経営が浅い場合は、行けると思った、売れそうだと思った、先ずは行動が大切でしょ。。。こういった意識レベルに何らかの尾ひれはひれを付けての説明に終始されます。

 

行動の理由が後付けなのです。直感も大切ですが、こういった意識レベルの場合、直ぐにできる事で儲かりそうな話ばかりに目がいきがちですし、これでは商売に対する意識が低すぎると言わざるを得ません。

 

一方で経営が深い場合は、行動の理由を、自社の存在意義、強みの伸ばし方や事業拡大の方向性、販売や生産性に対する新たな仕組みの導入意義、そのために発生するリスクに対する許容度といったこととの関係でお話されます。

 

打ち手に対する根拠がハッキリとしていますし、少なくともしっかりと準備しようとした上で打ち手を繰り出しています。

 

打ち手に対する行動理由が浅いことの最大の問題点は、仮に少し売れたとしてもほとんど儲からないことです。打ち手そのものの準備が浅い、つまり他の誰かでも直ぐに真似できてしまうのですから当然の結果といえます。

 

一般に“戦略”は「長期的視点に立った経営環境への適合シナリオ」といった意図で使われます。これは企業が世の中の変化に適合できなくなると死んでしまいますという、適者生存の考え方を表しています。

 

この考え方が間違いだとは言いませんが、ここで強く主張したいのは、企業は環境適合的なだけの存在ではなく、企業が世の中を創っているという側面もあるということです。

 

長く社会の第一線で活躍の皆様なら、お分かりいただけるものと思います。

 

世の中の動きは、全て人の意志、そこで頑張っている知人達、友人達の意志によってできています。適者生存の意識だけが強くなると、企業は意志の無いとても弱い存在になってしまいます。

 

うまく世の中の変化を渡り歩いて、上澄の利益を頂いていこう。。。といった御旗の錦の無いクリームスキミングな考え方は、断じて事業経営などではありません。

 

経営を成長発展させてきた社長殿というのは、多かれ少なかれ世の中を切り拓いてきた方々です。とても強い意志を持って、永きにわたりその実現に向けて忍耐を重ねてきた方々なのです。

 

経営環境の変化とは、打ち手の展開における前提条件の変化を意味します。これを適合しなければならない脅威と捉えるか、事業機会と捉えるか。無論、後者と考えるべきでしょう。

 

第一線で経営を伸ばしている経営者同士の会話は、お互いに意志の強さを確認されているように見えます。弊社がお手伝いさせていただくのも、こういった意思の確立を伴う打ち手の具現化です。

 

儲かるからやってみたら。。。といった浅はかな情報交換などとは根本が違います。

 

“戦略”とは単なる経営環境への適合シナリオではありません。経営者の意志があってこそ初めて打ち手に意味を宿すことができるのです。

 

そして、打ち手の意味が深いほど、唯一無二の打ち手となり、収益性という返報が約束されるのです。“戦略”とは環境分析から導き出されるだけのものではなく、経営者が腹に据えた意志から紡ぎ出されるものでもあるのです。

 

御社の打ち手の「なぜ」はハッキリしていますか?

御社の意志は腹に据わっていますか?

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