【第8話】利益が出る企業と出ない企業の違い
語弊があるかもしれませんが、弊社は利益を出すことを目標としてお手伝いをしています。これは利益が事業継続の燃料という意味で必要不可欠と考えているからです。
ある会計士・税理士さんは「2期続けて赤字を出したら経営者失格だ」と常々おっしゃっています。これは会計士・税理士さんからの赤字に対する見方として、至極当然な見解かと思います。
では、赤字状態を弊社はどのように見ているか。少し違った表現になります。「赤字で事業を経営するのであれば誰にでもできる」と。
厳しい物言いに聞こえるかもしれませんが、もう少しお付き合いください。赤字とは投下した費用を売上で回収できていない状態です。
100円玉を差し出して「これ90円で買いませんか?」と言ったとします。これは間違いなく売れるでしょう、と思う訳です。会計的には90円の売上が立ち、100円の費用が計上され、結果、損益計算書は10円の赤字になるのです。これ誰にでもできませんか?と申し上げたい訳です。
固定費があることを踏まえれば、赤字の原因を販売不振と見ることも大方間違いではないのでしょうが、より本質的に考えれば“安売りによる逆ザヤ状態”と言えます。投下したコストより大きな価値を生みだすことができていないのです。これでは、利益創出に対する工夫努力が足りていません、と言わざるを得ません。
利益が出ない企業からの相談には共通点があります。「売れそうな新商品開発」、「儲かりそうな新事業進出」、そしてそのために設備投資が必要だと。。。これだけ聞くと何かとても前向きな取組みのように聞こえるのですが、何か違和感があります。
利益が出ている企業からの相談にも共通点があります。「次世代に向けた新商品開発」、「販売基盤強化のための新事業進出」、そしてそのために必要な投資。。。
前者と後者のニュアンスの違い、感じられましたでしょうか。目指す「難易度」が違うのです。前者は今の難易度の程度で儲かる方法や場所を考えようとしているのに対して、後者はより難易度の高い領域を目指しています。能力の向上がなければ自社の未来は無い、ということを認識しているということです。
利益が出ない企業は、売れそうな商品で自社にできることはないかと考えたり、他社が築き上げてきた事業フィールドの二番煎じを探したりします。これがダメならあれはどうかとなるべく努力しないで済む方策を探す訳です。これらの主張にはとても大切な事が抜けています。自社の能力向上や本業に対する認識です。そして、ご自身もどこかでこの程度の努力で儲かるはずがない。。。と思っているので、赤字が慢性化するのです。
一方、利益が出る企業は、取組み全体が自社の能力向上を前提にしています。自らが厳しいトレーニングに挑む覚悟が最初にあるのです。厳しい道を選んだ上でそこをどう歩んでいくかを考えています。しっかりと己を知ることから始めているし、これまでと今を大切にしています。だからこの先に未来が積み上がっていくのです。能力向上と能力の売りモノ化への工夫努力によって絶対に利益を捻出するのだ、という気構えが、利益となって現れています。
自社の能力を活用し高めていくという本業の道を、ここでしっかりとトレーニングして鍛えていく以外、成長拡大への道はありません。利益創出は基本的に自社の覚悟の問題なのです。
御社では利益を出すために必要な「覚悟」ができていますか?