【第69話】高収益企業が意識的にやっている差別化の実践法

ビジネスモデル、業態開発、需要創造、差別化、USP。。。こういった経営視点が声高に叫ばれています。

 

廃業率が開業率を上回り企業数が減少し始めた「開廃業の逆転現象」は1990年頃。人口減少元年は2008年と言われています。

 

御社の売上や利益を振り返ってみて、いかがでしょうか。これらの時期と関連して何らかの変化が始まっていますでしょうか。

 

いずれ成熟経済化で経営を伸ばそうと考えれば、絶対に変えなければならない考え方があります。

 

その前に、確認しておきたい言葉があります。それは「収益」と「収益性」の違いです。

 

経営において「収益」とは“売上”の概念です。入ってくるお金ということです。「収益性」とは“利益”の概念です。これらは似ていますが全く異なる概念を意味しています。

 

更に言えば「収益性」とは利益の“額”というよりはむしろ利益の“率”を表す言葉です。例えば売上高対経常利益率や投資利益率といったものです。

 

また「高収益」というのも「収益性」を表す言葉ですので、高収益とは売上高が大きいということではなくて利益率が高いことを意味します。

 

今の時代、基本的にモノは足りています。更にお客様は欲しいモノがあったとしても購入先を選べるし、その欲しいモノの代わりになるモノも大抵有ります。

 

そんな中で御社の商品を買ってもらいたければ、その商品が選ばれるに値する“違い”を持っていることが重要です。

 

ところが、商品だけで“違い”を出すことが難しいという現実があります。よって、価格競争になり仮に売れたとしても「収益性」を失っていくのです。

 

そうならないために。。。どう考えるかが経営を伸ばすかどうかの分水嶺になります。

 

こういった状況下で、収益性を高める経営者殿は、ご自身の商品に対するこだわりは一旦置いて、商品以外のところまで含めて“違い”を創出できないかと考えます。

 

つまり、商品だけの“違い”ではなく事業モデルとして全体を考え直そうとします。全体として何らかの“違い”を生み、強めていこうと考えます。

 

一方で、収益性を確保できなくなる経営者殿は、販売不振の原因を主に商品そのものに求め、その“違い”に固執する傾向があります。あるいは販売方法に原因を求めることもあります。商品は良いのだから分かってもらえれば売れるはずだと考えるからです。

 

これらの考え方の差は、商品の付加価値のみで利益を生み出そうとするか、お客様との取引全体の付加価値から利益を生みだそうとするかの違いです。

 

商品の差別化で戦おうとしている企業と、事業モデルの差別化で戦おうとしている企業とが勝負すれば結果は自ずと明らかです。

 

商品の“違い”の開発そのものを追及することを否定しているのではありません。それは永遠の課題として大切です。

 

そうではなくて、問題認識の範囲が商品の特徴だけに留まってしまっていることが低収益の原因であると申し上げています。

 

商品に対してだけではなくて、内外製・連携、商品提供の仕方、販売場所・チャネル、支払方法、広告媒体等、事業モデル全体を考えて、体系的に差別化を整えていく意識が大切です。

 

「収益」に陰りが見えた場合、それは事業モデルが古くなり「収益性」が落ちてきているのです。落ちているのは「収益性」であって、「収益」の低下は症状でしかありません。

 

本質的に手を打ちたいと考えれば、“やり方”ではなくて“考え方”を変えなければなりません。

 

御社の「収益性」アイディアは古くなっていませんか?

事業モデルのレベルで差別化を考えていますか?

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