【第426話】伸びる会社の経営計画

「いや~、ISOの更新審査でひたすらPDCAを回しましょう…と言われるもんですから、そうなのかなとも思いつつ、そんなことで経営が立ち行くなら誰も苦労はしないよと…。言われる度にいつもイラっとしてきましたが、やっとその理由が理解できました」と。

 

いかがでしょうか? ISO更新審査で審査官から「計画を見せてください…」と言われた際、どんな気持ちになったでしょうか?

 

あるいは、銀行から事業計画を出してくれ…と言われた時、どんな気持ちになったことがあるでしょうか?

 

少し思い出してみていただきたいのです。多分…というか、ほぼ、いい気分ではなかったのではないでしょうか。

 

先にお伝えしておきますと、だから計画を止めましょうということではありません。そうではなくて、こうした気分が生まれる理由を分かった上で、気持ちに折り合いをつけて上手くやっていきましょうということです。

 

それならば、渾身、次期計画を策定して、従業員の前で発表する時はいかがでしょうか?

 

不思議なもので、体に力がみなぎり、やってやるぞと興奮し、描く未来に対する高揚感さえ覚える。そんなご経験をお持ちではないでしょうか。

 

このことから分かることがあります。それは、「計画にも色々ある」ということです。

 

その色々は学問的に研究され体系化されている部分もありますが、ここではそうしたことは一旦横に置いておき、経営者の立場からそれらの計画の何が違うのかについて整理していきましょう。

 

まず、他社から要求される計画には「現在、足りないとこ、悪いところに、どのように対応していくつもりなのか」というニュアンスが含まれているということです。

 

これは計画という名の下での改善案の要求なのです。これを逆から見れば、御社は、悪い、足りてない、改善が必要…と言われているに等しいのです。

 

このため、「計画を出してください」に対して、イラっとした気持ちになるのです。だから、気分が悪いのです。

 

どんな経営であっても、経営者であったならば、「足りてない」ことは常です。その足りない中で、もがいてあがいて…尻拭いしながら今を何とかしています。

 

とあるプロジェクトの打合せ後、大変尊敬申し上げている社長が主要メンバーだけになった社長室でこうおっしゃいました。「銀行対応は手続きだから、そこにエネルギーを消耗しないで中身に集中してきましょう」と。

 

計画が今の改善対応レベルの場合、その計画は改善のToDoリストと呼ぶべきものです。取組んでいきさえすれば実施可能なアクションプランといえることです。

 

特にISOのような審査対応や金融機関へ提出する事業計画であれば、計画は顕在化した問題状況に対しての改善策となりがちです。その結果、計画の中身は、取組さえすれば達成可能であろうToDoリストの集合になりがちです。

 

残念ながら、世の中にはそうした試験対策的、手続き的な計画の要求が現実としてあるのです。こうした計画の中身は、確かに未来のことを語ってはいるのですが、それはあくまでも今を改善するための取組み見通しを示すこと以上のものにはなり得ません。

 

本物の計画とは、環境分析や根拠などはどうでも良くて、自社はこうした未来を目指していく、その実現のために努力を惜しまずにこんなことに取り組んでいく…という未来進行形な挑戦宣言です。

 

これは、絶対にそこまで行くぞという意志の表明であり、それが本気であったならば、未来のことであっても、もう実現した過去かのようにカラフルに描かれているはずです。

 

経営ですから、様々なステークホルダーから試験対策的なつまらない要求にも対応していなかければなりません。それはそれとして粛々と対応しつつ、そうしたものとは別に、ご自身で描く未来を計画していくことが大切です。

 

経営計画が単なる改善のToDoリストになっていませんか?

次期の経営計画では、独自に描いた本気の未来を叫んでみませんか?

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