【第10話】事業計画策定に付いてくるとても大切な変化

新事業への挑戦にあたり、構想を計画化していくことは経営者の極めて重要な役割です。計画化とは、やる事を決めて、やり方を決めて、やっていくための道筋を明確にすること、といえます。ここでの工夫努力が無ければ顧客の創造など困難な訳で、事前の仕込みがとても大切なのです。

 

新事業開始前に事業計画を持っていないというのは、海図を持たずに航海に出るようなもの、高尾山に登る装備であわよくばヒマラヤに登ろうとするようなもので、上手く行くはずがないのです。

 

そして、計画が頭の中から紙に落とし込まれていることも大切です。この計画の質が一定水準を超えない限り、事業が世の中に出て日の目を見ることはありません。

 

なぜこう断言できるのか。理由はとても明確です。構想は頭の中にある時点ではとても断片的で、ただのアイディアに過ぎないからです。着眼として良い筋であっても実態として動かしていくにはスカスカなのです。

 

仮にこの状態で走り出すとどうなるか。軸のない場当たり的な対応に終始することになり、だんだんと疲弊してきます。ビジネスが断片的にしか準備されていないので、これから起こりくる現実に対応しきれなくなります。

 

魚釣りに行くのに場所も狙う魚も決めずに、倉庫の釣り道具一式を持ってただ闇雲に出かけても釣果は期待できません。もしかするとハゼくらいなら釣れるかもしれませんが万に一つもマグロが釣れることはありません。その日偶然にアジの大群に出会うことはあるかもしれませんが、明日も明後日も安定的に数を釣り上げることができるでしょうか?

 

新事業を計画している段階で、それを説明する必要が出てくるのは出資者や債権者といったステークホルダーです。しかし、いずれ事業を開始すればもっとも厳しいステークホルダーが待っています。顧客です。

 

事業計画は単なるアクションプランではありません。顧客への応え方なのです。最終的には顧客に説明できなければ事業になりません。

 

事業計画もこの水準になってくると、物理的な体制としても、気持ちの面でも、姿勢が整ってきます。構え方が変わってくるのです。

 

松井秀喜選手とイチロー選手は同じバッティングでも構え方が違います。松井選手はホームランを狙い、イチロー選手は塁に出ることを狙っています。双方ともチームに得点をもたらし、勝つことを共通目標としていますが、構え方は違います。

 

経営もこれに似ています。同じような業種・業態であっても構え方は千差万別です。世の中に貢献しようという共通の目標に向かいつつ、独自のやり方を展開しています。その意識が外側にカタチとなって現れたのが構え方なのです。

 

この構え方が定まってくると、とても大切な変化が訪れます。未来が見えるようになってくるのです。

 

怪しい事を言い始めたなと思いますか。いえいえ、占いや予言ではありません。やるべき事を決めたのですから、それをやったらどうなるかについて、ある程度の範囲で結果を予想できるようになってくるというのが、タネあかしです。

 

松井選手がホームランの目標本数を、イチロー選手が打率の目標を掲げられるのは、構え方ができているからです。だから、その結果としての未来が語れるのです。

 

行動努力を売上にする時代から思考努力で利益を捻出する時代へと移りつつあります。こういった時代背景を踏まえれば、一定の質を持った事業計画が無いことは致命的といえます。頭脳戦である以上、試合前に大方の勝負の行方は決まってしまうのです。

 

御社では顧客へ応えるための構え方を確立し、その「未来」が見えるようになっていますか?

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