【第401話】成長の軌跡を描く2つの重要要素

「あの時、新事業として〇〇サービスを考えてましたが、止められた理由が今なら良く分かります」と社長。自社看板のオリジナルな新商品が完成し、販売開始に向けた準備が進む中、当時を振り返ります。

 

こちらの企業、当時、とある新サービスを始めようとしており、その実現に向けてお声がけいただきました。

 

こうした場合、基本的にご意向を踏まえてプロジェクトを進めていく後押しをさせていただきます。

 

これは、何でもご意向に沿うということではなくて、大抵の場合、間違っていないし、そもそも正解の無い世界に棲んでいるのですから、何であっても前に進んだ方が良いからです。

 

ただし、例外とまではいわないまでも、稀に一呼吸おかせていただくことがあります。というのも、もっと強みを活かせそうな新事業、優先できそうな他の選択肢が見えていないのでは…という場合です。

 

ここに気付かず先に進んでから、「早く言ってよ~」となっては勿体ないので、迷いなく進んでいただくためにも、念のため整理の意味を込めての一呼吸です。

 

ちなみに、分かりやすいように大別すれば、世の中のビジネスは「作る」と「売る」があります。

 

例えば、「作る」ビジネスはモノに付加価値を付ける製造業、「売る」ビジネスは欲しい人に届ける小売業といったことです。あるいは、サプライチェーンで見れば、上流側と下流側と見ることもできるでしょう。

 

この視点から新事業の進む方向性を“範囲”の拡大で考えるならば、「作る」ビジネスは「売る」に、「売る」ビジネスは「作る」に向かうことです。

 

その前に、もう一つ、ビジネスを分類する軸があります。それは、ビジネスの“レベル感”です。

 

ビジネスには、難易度としてのレベル感があり、そのレベル感の違いが収益性に違いをもたらします。

 

ですから、新事業を考える際、収益性を高めつつ…を目指すならば、その範囲の拡大と同時にレベル感を上げていくことを目指す意識が欠かせません。

 

ここでお伝えしたいビジネスのレベル感とは、ビジネスがオペレーション(運営法)に留まっているのか、クリエイション(思考法)にまで突っ込んでいるのかの違いです。

 

そういう意味で、「××先輩から教えてもらいながらやってます」というのは、運営法レベルのビジネスと考えてほぼ間違いありません。

 

面白いのは、運営レベルの経営ほど“範囲”を拡大しようとし、思考法レベルの経営ほど“レベル感”を上げようとすることです。

 

大切なことなので補足するならば、一口に新事業といっても、その中身には二つの意味的な方向性が含まれているということです。

 

ちなみに、運営法レベルの経営というのは、運営法という他者が敷いた同じレールの上を走っているため、例えビジネスの範囲を拡大させたとしても、その範囲の違いは本質的な経営の違いにはなり得なのです。

 

つまり、経営者として、アレもコレもやっている…という話はできても、実のところその中身は同じなのです。

 

一方、思考法レベルの経営は考え方の違いですから、何とでも違いを生み出すことが可能です。むしろ、自分で考えれば自ずと必ず違うものになるのです。

 

前述の社長、現有能力を使って手っ取り早く範囲の拡大を目指したもので、その際、レベル感を高める意識が足りていなかったために、一息ついていただきました。

 

新事業への挑戦、成長の軌跡を描いていくには、“範囲”の拡大よりも“レベル感”を昇る意識が大切です。

 

“範囲”よりも“レベル感”を優先していますか?

運営レベルを卒業して思考レベルの経営を目指しませんか?

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