【第400話】社長業は我慢業、だからこそ報われる我慢の仕方を。

「社長業は我慢業ですから…」と社長。どこか嬉しそうにそう話されます。

 

なぜ嬉しそうなのか…といえば、その答えはとてもシンプルです。これまでの努力が報われている状況にあるからです。

 

苦労して立ち上げた新事業が5年程で10億超えに育ち、利益率15%、自己資本比率は80%と財務的にも盤石です。

 

こちらの新事業のフィナンシャルモデルは、初期投資や固定費を最小化しつつ、まずは売上が小さくても高い利益率を目指し、その利益を再投資することで事業拡大を図っていくという拡大再生産型の成長モデルです。

 

もう少し補足すれば、大きな初期投資を借入で実行して設備が生む売上を買い、この売上から借入金の返済に挑んでいくような借入先行型の成長モデルではないということです。

 

少し話は逸れましたが、事業モデルの組立て方によって、経営者の我慢の仕方は違ってきます。

 

ざっくり言えば、拡大再生産型成長の我慢は“先に短く”、借入先行型成長の我慢は“後から長く”ということです。

 

大切なことなので、さらに補足するならば、拡大再生産型は先に“利益”を考えることに我慢を強いられるのに対して、借入先行型は後からの“売上”を考え続けることに我慢を要します。

 

ここではフィナンシャル面から「拡大再生産型」と「借入先行型」とお伝えしていますが、ビジネスの実態面から見れば、これらは概ね「企画開発型ビジネス」と「請負受託型ビジネス」と対になっています。

 

ちなみに、これが経営の格言として古くから言われている「売上よりも利益を考えよ」ということの意味なのです。

 

この意識の違いが、能力売りの「請負受託型ビジネス」を商品サービス売りの「企画開発型ビジネス」へと昇華させていくことにつながっているのです。

 

昨今、ままならないコトが多いのではないでしょうか。色々な我慢があるのではないでしょうか。

 

というのも、新型コロナ、戦争、エネルギー争奪戦、食物危機、為替変動…、世界経済が大変革を迎える中にあって、将来の見通しに対する不確実性が高まっています。

 

実際、思い切った業態転換に踏み出す経営者を多く知っています。

 

そのために、まずは「売上」よりも「利益」を考える。そうすることで「請負受託型ビジネス」の先にある「企画開発型ビジネス」を目指す。そすうることで、「借入先行型」を脱して「拡大再生産型」のフィナンシャル構造を手に入れるということです。

 

ところが、ここでこの構造転換の入口に立つためには、もう一つ大切な意識があります。

 

それは、経営は「社内活動」ではなくて「社外活動」だという意識です。

 

経営が社内活動になってしまっている社長は、仕事が社内のことなので、社内を治めればそれで経営ができていると考えてしまいがちです。

 

反対に、経営が社外活動になっている社長は、仕事は社外にあると考えているので、社外の仕事を持ち込みます。

 

これを言い換えるならば、社内に売上をもらってこようとするのか。社外に利益(付加価値)をもたらそうとするのかという経営意識の決定的な違いです。

 

この起点、経営は社外活動であるという意識が、「企画開発型ビジネス」で拡大再生産しながら成長路線を歩み進めるために欠かせません。

 

最初の段階、企画開発時点で創意工夫の我慢が必要ですが、その我慢はその後に大きく利益売上をもたらすことでしょう。

 

後から報われるためにも、最初に我慢してみませんか?

最初の我慢、自社独自の商品サービスの企画開発に賭けてみませんか?

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