【第399話】経営に独自性を宿し時間をも味方につける戦略起点

「税理士さんに、良い報告ができました――」と社長。この一言、実はとても深い意味があります。

 

どう深いか…といえば、研究開発費としてなかなかの経費が計上されると同時に、新たな顧客からの受注を実現しているからです。

 

要は、自社で新製品を完成させたという“新製品開発”の壁と、新たな顧客を獲得したという“新市場創造”の壁、双方を突破しているということです。

 

弊社は、中小企業の企画室を目指し「独自路線の成長」を掲げ、日々、経営者を後押ししていくことに邁進しています。

 

こうした中で、とてもとても惜しいしな、悔しいな…、ここを超えさえすればもっと、しかも一気に行けるのにな…と感じることが多々あります。

 

それはどんな事かといえば、自社の商売の“独自性”を語る際、その違いをオリジナリティではなくてユニークさで語ってしまっていることです。

 

大切なことなので補足すれば、商売の違いを「考え方」のレベルで語っているのか、「やり方」のレベルで語っているのか、という経営意識の持ち方が現れているということです。

 

ここが、本当の意味で経営における“違い”です。

 

例えば、こんなことがありました。ラーメン店の若き経営者とご一緒した際、「どんなお店?」と聞いたならば「おしぼり、布製を出してるんです」と。

 

つまり、ラーメン店で「紙おしぼり」ではなくて「布おしぼり」を出しているところって珍しいでしょ、という訳です。たしかに、違いなのかもしれませんが…。

 

我慢できずに、「それは“違い”などではありません」とお伝えしたならば、彼が話を聞きたいと言ってくれたので、その先を続けました。

 

経営には「考え方」と「やり方」のレベルで実践力が求められます。今のあなたは「やり方」だけにしか意識がないのです。

 

よって、どんなにあなたが“違い”を叫ぼうとお客様にその違いが刺さることはありません。だから今のままだと、今以上の繁盛を期待することは難しいのです…とお伝えしました。

 

彼は…これまでに言われたこともないことを聞いて、表情が明らかに???となっていましたので解説を続けました。

 

例えば、あなたが「ラーメンは熱々が大切」と考えていたとします。「お客様には汗だくになって食べてほしい」と。「だから、紙おしぼりではなく布おしぼりを提供しています」だったらどうですか…と。

 

彼はニヤッとしながら、「はい、熱々にこだわっています」と。それが、経営者の意志、「考え方」としての“違い”なのだということを理解してくれたようです。

 

こうして、“熱々”が意志となれば、そこからの経営の歩みも違ってきます。彼は、今後、熱々とは…を深く考えるでしょう。そして、熱々を提供するための調理行程、熱々でも最後まで伸びない麺、熱々でも香高いスープといったことの開発に取り組んでいくでしょう。

 

そして、彼は今後、決して「オシボリの種類」でお店の違いを語ることはないはずです。

 

経営における“違いと”は、「考え方」のレベルにあります。そして、この「考え方」を自分で考えたならば、自ずとその意志の“違い”から経営に独自性を宿すことになります。

 

この意味で、独自性とは自らの意志を起点に持つことで自ずと生まれてくるものといえます。

 

こうして生まれた独自性は、歩むべき道に歩みを進めていく力があります。そしてその歩む道が本当の意味で違いを生みます。これを弊社では「独自路線の成長戦略」と呼んでいます。

 

さらに、この独自の歩みは、時間とともに強さを育みます。自分で考えて決めていくからです。独自性とは社長ご自身の意志です。決して市場分析から歩みの方向性を決めてしまってはなりません。

 

経営の“違い”を考え方、意志で語っていますか?

“歩み”として自社の強さを育てていますか?

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