【第387話】下請運営ビジネスから元請企画ビジネスへの転換法

「営業資料やダイレクトメールでご連絡をいただき、やっとこれまでの取組みの意味を理解できたように思います」と社長。何度も書き直したね…と、なぜか嬉しそうです。

 

実は、超大企業からのお問合せがあり、これに対して、お送りしたのは挨拶文を添えたA4の営業資料、1枚だけで採用検討のまな板に乗りました。

 

ただし、こちらの資料、これまでの膨大な研究開発の成果、100ページ近い研究成果の要点を、お客様視点で煮詰めたものであり、単なる紙切れ1枚ではありません。

 

もちろん、採用が決定したということではなくて、これから様々な試験評価など、この先のステップに進んでいくこととなりますが、まずはこうした最初のハードルを越えていくことができたことに、社長は「進んでいる」、「ここまで来た」と実感されています。

 

こちらの社長、技術系の経営者であり、良くも悪くも知識あるアイデアマンです。こうした才気から、素晴らしいアイデアで商品開発まではされるのですが、そこがゴールイメージとなってしまい、その先の販売に対する意識が薄いところがありました。

 

ここから先のもう一歩、販売普及への実践が始まり、これまでにない手応えを感じておられます。

 

こうした手応え…を感じることができるのには、しっかりとした理由があります。それは、ビジネスとしての階層の違いにあります。

 

ビジネスを階層で見れば、大きく2つのレイヤーに分けることができます。それは、“運営力”と“企画力”です。

 

ここで運営力とは、誰かが創ったビジネスの一旦の“運営”を担うというものです。この運営とは、いわばビジネスを動かす労働力を担うことによるビジネスです。

 

もう少し補足すれば、労働力を現金化しているレイヤーであり、ここでのウリは、「担うことができるマネジメント能力」といえます。

 

その上にあるビジネスレイヤーとして企画力があります。これは、お客様に対して新たな価値を提供する付加価値ビジネスであり、労働力を元により一層の付加価値に転換する一工夫が仕込まれているビジネスです。

 

ここで大切な理解は、一定の役割を担うことのできる高い運営能力があることと、新たなビジネスを生み出す企画能力では、そのビジネスタイプが違うということです。

 

例えば、運営力というのは、他社の創ったビジネスに便乗して、そのビジネスを約束どおり運営できるかどうか…といったマネジメント能力のことです。

 

一方、企画力とは、ビジネスの核となる部分を自分で生み出し、それをビジネスに仕上げるマネジメント能力のことです。

 

弊社では、「独自路線の成長戦略」を掲げ、例え初めは小さかったとしてもご自身でビジネスを創ることを後押しすることを目指しています。

 

どこかの誰かのプラットフォームに乗って、労働力を現金化するのではなく、ご自身で考えた付加価値の創出に賭けてみる独立志向の事業構築です。

 

下請けという言葉を聞きますが、どんな仕事もお客様の下請けなのです。

 

ただし、そこにも質的な違いがあって、「お客様の代わりに実行する」運営業なのか、「お客様のお望みを叶える」企画業なのか、似て非なる一線が存在しています。

 

ウチは「運営業です」と仕事集めの旗を立てるのか、「企画業です」と貢献を叫ぶのか…、ビジネスとしての入口が違います。

 

「ウチは下請けだから…」ということ自体に、ビジネスとして何ら問題はありません。

 

問題は、経営者の意識なのです。言われたことをやれますという説明にまでしか意識が及んでいないことです。

 

専門の立場から、もう一歩進んでこうしてみては…とお客様に踏み込んで考えることが下請け脱却の本質であり、運営ビジネスから企画ビジネスへの転換起点となることです。

 

運営力をベースに、もう一歩踏み込んで企画力に賭けていますか?

例え小さかったとしても独自の企画ビジネスに取組んでみませんか?

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