【第373話】情報発信で発展する企業とスベる企業の違い

「おかげ様で迷いなく頑張れています」と久々にお会いして一献を交わしつつ、社長から嬉しい近況報告です。

 

聞けば、困難な世相にあって、売上はそれ以前を越えており、ご立派な経営概況を歩んでおられます。

 

最近では売れるパターンが分かってきたとのことで、お客様の期待を読めるようになり、それらを次々と企画化して繰り出されています。

 

これらのWEBサイト、SNS、メルマガ、パンフレット、商品パッケージ…には、あの頃、必死で考えたことがずらりと並び、企画は多様ですが、そこには一本の軸が通っていることが見て取れます。

 

こちらの企業、当時、長くジワジワと売上が下がり続け、何とかしなければ…と勉強されて様々な取組みを実践されていましたが、これらの勉強がむしろ迷走の原因となっていました。

 

何でもやってみた方が良いに決まってはいるのですが、こと経営者の場合、その「やってみる」にも軸がなければ、それは、運営資金を垂れ流しているに等しいことになってしまいます。

 

この迷走の原因となっていたのは、この軸が定まらないまま、お勉強による手段レベルの取組みで、エネルギーを浪費してしまっていたことです。

 

このように、企業の存続発展に欠かせない軸が定まらないのには、もう少し深いところに真因があります。

 

それはとてもシンプルなことです。「立ち位置」です。

 

とても大切なことなので詳しくお伝えすれば、我々は商売人だということです。このようにお伝えすると、どこか我利我利の亡者、金儲け…といったことを思い浮かべられるかもしれませんが、そうではありません。

 

改めて言うまでもなく、商売とは“お客様活動”です。お客様に対して商品サービスを提供し、その対価を頂戴することで生かされているということです。

 

この「立ち位置」を見失うと、情報発信の軸が狂い始めます。

 

その具体的な例を挙げることはあえて控えるとして、これをお読みいただいている経営者の方々であれば、「ああ、アレね」とお分かりいただけるものと思います。

 

そして、こうした軸の狂いは、我々は素晴らしい“活動”をしているのだということで、キラキラした情報発信が目につくようになっていきます。

 

少し考えれば分かる事ですが、こうした活動、素晴らしいでしょう…とばかりに、お客様にマウントしてどうするのでしょうか?

 

我々の「立ち位置」は、お客様に対して何らかの商品サービスの提供を通じて、世の中に貢献することにあります。

 

これは逆から見れば、目指すべき世の中がまずあって、その実現のためにビジネスがあるのではなくて、自分たちの能力技術を通じてお客様に貢献し、このことを通じてその先に在る素晴らしい世の中を目指しているという順番にあるということです。

 

利他、三方良し、社会性…といった商人道というのは目的そのものではありません。良い人格を持った経営者が普通に商売をすれば、それは間違いなく世の中のためになるのです。

 

その意味で、利他といったことというのは、行動ではなくて人格を意味することです。

 

良い世の中をつくることを語る前に、良い人格、良い商人道を持ってお客様に貢献する意識が大切です。

 

お客様に対する具体的な貢献意欲を軸として定め、それをしっかりと世に叫ぶことが大切です。

 

情報発信は、お客様への貢献意欲になっていますか?

キラキラ情報発信でお客様にマウントしてしまっていませんか?

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