【第371話】成長戦略、売上は買えるのか?!

「新規顧客の獲得を目論んで〇億円の新設備を導入したのですが…」と社長。聞けば最新の高スペックな設備ですが、そのスペック自体で新たなお客様を獲得するにはまだ至っていないとのことです。

 

成長を目指そうとするならば投資意識は極めて大切な経営者意識です。

 

それは、新たなコトに取り組むということ自体が投資ですし、経営の種蒔きとは、基本的に全て投資であり、先におカネが手元から離れて、いずれ後から何らかのリターンが返ってくるという構図にあるからです。

 

これを逆から見れば、経営者が経営や売上の“安定化”を望んだとしたならば、それはどういうことを意味するのか…ということです。少し考えれば分かることですが、確実なことは未来が萎む方向にあるということです。

 

リスクとは、下側にも上側にもあるのです。ダウンサイドがあることも覚悟の上でアップサイドに賭ける…。それが経営を存続発展させるために欠かせない意識といえるでしょう。

 

ここで面白いのは、世の常として「ノーリスク・ノーリターン」だと分かっていながらも、なかなか投資に賭けることに踏み切れないことが多いということです。

 

なぜ分かっていながら踏み切れないのかといえば、そこには大切な条件があります。

 

それは、投資すると決めるたには、その先に目的や目標といったことを持っていることが欠かせないのです。

 

ここで、投資に対するリターンとは、決して経済的なモノ、利益…といったことだけではありません。

 

例えば、新たな能力技術の獲得、従業員の成長、社内の仕組みの構築、信用信頼の蓄積…、こうした経営の本質的な成長要素を獲得していくことでもあります。

 

ここで成長発展ということの認識がとても大切です。それは決して売上規模だけではないということです。

 

度々お伝えしていますが、事業経営において売上だけなら買うことができます。売上は買えるのか…、という問いに対する答えは簡単です。買えるのです。

 

実際、今よりも人の目に留まる立地に移転すればもっと売れるかもしれません。取り扱い商材を増やせば売上を増やすことができるかもしれません。店舗を増やせば売上は増えることでしょう。広告を増やせば売上は増えるでしょう。新たな製品を造ることができる生産設備を導入すればその受注で新たな売上を獲得することができることでしょう。

 

ただし、それが必ずしも本物の成長発展につながらないことは、おおよそ感じていただいているものと思います。

 

その理由はシンプルです。それは売上ではなく利益です。投資に対するリターンとは売上ではなくて利益なのです。

 

1万円札を9千円で売れば、売れるのです。決算書、損益計算書には売上9千円、費用1万円、赤字千円が計上されます。

 

経営において投資意識が大切とお伝えしていますが、それは売上拡大よりも利益拡大を目指すことで、正しい投資意識、リスクリターンの感覚を養うことができます。

 

もっと言えば、利益の規模よりも“利益率”で考えることで、投資意識はより研ぎ澄まされます。経営における大切な投資意識とは、ステージアップを目指した利益率の向上です。

 

そうであるならば、新たな投資とは、今よりも高度な商品サービスのレベルを目指す“困難な道”への挑戦であって、反対に、コスト削減、大変な作業の効率化といった“楽な道”への選択ではないはずです。

 

目指す投資とは、今よりも高い商品サービスを志し、より付加価値の高いリターンレベル、経営ステージを目指すことです。

 

そのためには、これからの“伸びしろ”に賭けることが欠かせません。自分を含めて従業員スタッフの“伸びしろ”を信じることが大切です。

 

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