【第37話】社長にしかできない表舞台の創り方

コンサルタントの仕事とは、自社らしく儲けるという目標に向かっているクライアント企業の社長殿や事業責任者、そして実行チームを支えるために、主に「考え方」や「やり方」を提供し、プロジェクトを進めていくことです。

 

この仕事をしていて嬉しいのは、クライアント企業の商品が売れた・儲かった瞬間だけではありません。商品・サービスが新聞に載った時や、社長殿やメンバーが舞台上でスポットライトを浴びている時などは、皆のこれまでの努力が実ったような気がして、とても嬉しい気持ちになります。裏方冥利に尽きる瞬間です。

 

ただし、こういった一見ハッピーに見える瞬間にも落とし穴があることは知っておかなければなりません。

 

どこかしこでも露出すればよいということではないということです。社長殿に有名になっていただくのは嬉しい事ですが、売りたい自社事業とあまり関係のないところでのご活動は慎んでいただくようお願いすることもあります。

 

つまり、経営者にとって活躍すべき“表舞台”とはお客様の前に立つこと。お客様あっての表舞台だということなのです。

 

メディアに載る事自体はパブリシティ戦略として積極的に推進していきますが、新聞や雑誌に取り上げられる事と、商品・サービスが売れていく事とは必ずしも一致しない、ということに対する理解が必要です。メディアを通じてお客様の前に立てているかどうかが重要なのです。

 

ですから、お客様になりそうもない方々の前での自社事業や商品のプレゼンテーションであったり、その先にお客様がいそうじゃないメディアへの露出については、これまで築き上げて来たイメージをかえって壊す可能性もあるので、できれば事前にご一報いただきたいとお願いしています。

 

もう一点、表舞台に立つにあたって不可欠な心構えがあります。それは“最前線”に立つという覚悟です。

 

ここでも“最前線”とはお客様の前ということです。実際の販売では社長殿が直々にお出ましいただくことは稀であったとしてもこの覚悟は大切です。

 

「今時の若いものは。。。」とうフレーズは数千年もの昔から繰り返されてきたと言われていますが、昨今、営業・サービスや設計・製造といった直接部門を避け、総務、経理、人事といった間接部門への配属を希望する社員が増えているそうです。

 

一昔前であれば、営業部門は売上を取ってくる会社の花形、設計や製造部門にあっては会社の屋台骨となる技術のプロ達として尊敬される立場にありました。そして、これら直接部門を支えるのが総務、経理、人事といった間接部門であるとの意識は、とても一般的なものであったように思います。

 

戦いの現場に出たくない、という意識の現れなのでしょう。確かに頭脳戦の時代ですので間接部門からのコントロールは重要性を増していますし、直接部門は外注してしまうことも可能です。

 

しかし、そうはいっても事業の実態とは製造部門が作り、営業部門が売っているから成り立っているのです。そして彼ら、彼女らがお客様と対峙しクレームに対応し続けているからこそ事業が継続できているのです。

 

新事業で販売を拡大していくとは、新たなお客様への追加的対応を意味します。社長殿が「新たに当社独自の舞台を創る。そこで僕が主役を張るからみんな一緒についてきてくれ。」という姿勢を見せない限り、ただでさえ最前線を嫌う時代なのですから、社員方がついてきてくれるはずがありません。

 

社長殿にとって“表舞台”とは、実は誰か他人が作った社会仕組み的な場やメディアなどではありません。お客様の前に立っている毎日のその『仕事場』こそが本物の表舞台なのです。

 

社会人になって、初めて押した工場のスイッチ、初めて取ったお客様からの電話。。。だれもが経験してきたあの瞬間の怖さを今一度超えていくことに対する覚悟が大切です。

 

最前線で主役を張ってスポットライトを浴びる覚悟はできていますか?

自分達が立つ舞台を観てくれているのは自社のお客様ですか?

コラム更新・お役立ち情報をメールでお知らせします!

メールアドレスをご登録いただくと、コラム更新やコラムではお伝えしきれない情報などをメールでお知らせします。

こちらのページから是非ご登録ください。

経営者応援コラム