【第363話】豊かに事業モデルを更新していくための不可欠視点

「実は、事業を根本的に変えていく必要があると考えてまして…」と社長。温厚な姿ながら、その声には力があります。

 

次なる打ち手は、単なる新事業、新商品企画とは違う、もっと深く事業構造を変えていく、業態転換も視野に…という強い想いをお持ちのようです。

 

さらにお話を聞けば、今考えておられる新事業があるとのことで、その概要をお聞きすると、いくつかの視点に混同がありましたので、そのことを整理しながらお伝えしました。

 

当然のことながら、商売というのは日々の運営にあっても、毎日が同じようであって同じではなく、常に調整、協力、改善…といったことで進んでいます。

 

それと同時に、10年単位で考えれば、世の中が今と同じであるはずもなく、ビジネスを構造的に変革していくことが求められることは言うまでもありません。

 

ピンチはチャンス…などというのは簡単ですが、自己革新を行っていくというのは本当に大変なことです。

 

これは、ある意味、企業文化やこれまで守ってきた価値観といったことを否定する部分もあり、一定の反発は必至だからです。

 

昨今、事業モデルの構築や、再構築、業態転換…といったことを考える際、事業規模の膨らまし方や販売課金方法といったことに目線が行きがちです。

 

例えば、フランチャイズ、サブスク、会員制…といったことですが、こういったことだけが事業モデルではありません。

 

このように、カネ目から事業を説明することが、あたかも「事業モデル」と考えられがちですが、少し足りていません。

 

事業モデル構築とは「ビジネスの全体をお客様に対して最適化しながら更新すること」であり、その成長発展の具体策としては、企画開発、製造、販売という企業の三大機能で担う範囲を拡大していくことです。

 

大抵の場合、中小企業は、製造機能か販売機能に商売の軸足があり企画開発機能が弱いところがあります。

 

このアンバランスから、独自路線の成長発展、独立自尊の経営を目指す方向性が見えてきます。

 

それは、これから事業モデルの革新に取り組んでいくということは、製造会社は販売機能の獲得強化に、販売会社は製造機能の獲得強化に取り組むこと。

 

そして何よりも、例え範囲は小さかったとしても独自の商品サービスについて企画開発機能を持つこと、自社で考えた商品サービスを持つことです。

 

ここで話を元に戻せば、事業モデル構築にあたって最も大切なのは、これら三大機能の獲得強化をどのようなシナリオで描いていくかという手順思考です。

 

この中で最も大変なのが、企画開発機能を強化することです。これは、誰かが考えたものを「製造する」のでもなく、誰かが考えたり作ったものを「販売する」のでもない状況を目指すということです。

 

大切なことなので補足すれば、いつの時代も商売の根本はお客様に対する価値提供だということです。

 

よって、企画開発力ある企業を目指すとは、自ら仕事を生み出すクセ、企業文化を育てることでもあります。

 

モノが売れない時代、事業モデル構築がどうしてもおカネ集めのテクニックに走りがちです。

 

まずは、商売の根本がお客様への価値提供であるとの原点に立ち返り、作れそうだから、売れそうだから…をさておいて、事業モデル全体の建付けをどのように更新していくかとの視点で取組を進めていくことが大切です。

 

事業モデル構築が付加価値ではなくおカネ集め発想になってしまっていませんか?

次なる事業モデルは、三大機能の拡大強化シナリオになっていますか?

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