【第359話】経営者のための環境変化対応の大方針

「いずれやらねば、いずれやりたい…と思ってきたのですが、いよいよその時だと思いましてこの新事業の立ち上げを決意しました」と社長。

 

苦難な道にも関わらず、新商品の試作には熱が入り、「楽しいんだ」と仰います。

 

経営環境の変化が速い時代と言われます。経営環境の変化…と聞けば、それは「経営にとって望まない状況変化」を意味することが多いのではないでしょうか。

 

このため、経営環境の変化が早いというのは経営者にとって嘆き節であることがほとんどです。

 

一方、これとは真逆に「変化はチャンスだ」といった主張も耳にします。しかし、こういった主張が、どこか浅く軽く聞こえるのには理由があります。

 

それは、世の中、多くの人は物事が続いていくように頑張っているからです。みな、何とか今を続けていくこと、この先が続いていくことを願って頑張っているのです。

 

このため、「変化はチャンスだ」といった主張は、日々、今を維持する挑戦に奔走している人たちから見れば、平和だね…と感じてしまうのも無理はありません。

 

まず大切な理解は、今が続いていること自体とても大変なことで、これは関わるみなの努力によって実現されているということです。

 

もう少し補足すれば、今を維持するというだけでも相当な努力と犠牲、それ自体が極めて挑戦的なことであるということです。

 

よって、現状維持vs変化といった議論というのは、例えば8割は今が続くことを願いつつ2割は変化を受け入れる…、こういった心持の割合の差でしかありません。

 

ただし、経営者であるならば、“変化”ということに、もう少し踏み込んでその対応を考えておくことが大切です。

 

ここで難しいのは、経営環境の“変化”というのは、大抵の場合、こちらが「望まない変化」であり、それに対してこちらが変わることを求めてくるということです。

 

もう少し整理すれば、経営者にとって経営環境の変化とは、放っておいてくれればいいのに、望みもしないのに、ジブンが変わることを試されてしまうのです。

 

当然のことながら、今を続けることに努力している最中にあって「変われ」と言われても、それは簡単に譲れるものではありません。むしろ経営者にあるならば、今のポリシーを貫いて欲しいとさえ思っています。

 

しかし、「変われ」と言われて、ご自身の考え方、価値観といったことまで変える必要はありませんが、経営者であるならば変えなければならないこともあります。

 

それは何かといえば、社会構造の変化に対する認識です。つまり経営において前提となる条件の部分に対する変化には、必然的に対応しなければならない立場にあるということです。

 

例えば、資格試験において昨今は受験校に通うのが通例となっています。資格を取得したい人が受験校に通い良いスコアを出して合格します。そうして受験者全体の点数が上がると資格試験のふるい落としにならないので試験問題が難しくなります。そうするとまた受験校に通わないと資格試験に合格できるようにならない…といったことです。

 

こういった状況に対して、資格試験をパスするのに受験校に通わないとムリというのは制度としておかしい…と主張したところで仕方ないということです。

 

変化によって求められる「変われ」とは、ご自身の仕事観や経営に対する大切な価値観といったことに対するものではありません。

 

それは、もっと大きな認識、経営を組み立てていくために前提となる社会構造の変化といったことについては、望もうと望まなかろうと、それは受け入れていくべきことです。

 

こうした際、むしろ能動的に変化の先頭に立って、変化に対応して結果を出して見せることが肝要です。それは望まぬ変化を助長することを意味しません。むしろ、登ってみせて初めて言いたいことを言えるようになる立場を得ることにつながります。

 

今を守ることと変化対応は両立すると知っていますか?

むしろ自ら変化の海に飛び込んでみませんか?

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