【第358話】ビジネスは本当に顧客の問題解決なのか!?

「新事業の検討を進めてきましたが、既存の設備も活かせるので××××ビジネスをやろうと思うのですが…」と、以前からお付き合いのある経営者からご連絡がありました。

 

そして、「どうでしょうか…」と。聞けば、「実際、そういったサービスがあれば使いたい、との声があるので商売になるのではないか」との思いに至ったとのこと。

 

早速、お打合せをして、当該ビジネスアイデアの一長一短、あるいは、この新事業に進むことで消えてしまうその他の可能性などについてご説明しました。

 

結果、本アイデアも捨てずにまな板に載せつつ、この機会に、まずはもう少し広く可能性を探ることとなりました。

 

ここで、一旦ペンディングになった事業アイデアに対してすぐにウンと言えなかった理由は、とてもシンプルな判断基準に基づいています。

 

それは、その新事業アイデア、問題解決の視点が社会法則的であって、自然法則的ではなかったからです。

 

その説明をする前に、「ビジネスとは顧客の問題解決である」と言われます。これはそのとおりで、経営でもビジネスパーソンでも、この問題解決能力が求められていることに間違いはありません。

 

当然のことながら、お客様はご自身が抱えている問題を解決してもらえればうれしいに決まっています。ですから、これが対価を生むビジネスになり得る訳です。

 

ですが、簡単そうに聞こえますが、このビジネスの核となる“問題”の認識がとても難しいのです。このため「問題が正しく設定できれば問題は解決したようなもの」とさえ言われる訳です。

 

ここで、問題解決における問題は、既に顕在化した問題、目の前に現れた症状、望まないこと、といったことで認識されています。

 

このため、問題解決という視点から新たなビジネスを発案しようとすると、どうしても問題自体の本質というよりは、その問題の原因から派生した症状に目が行きがちになってしまいます。

 

実際、企業と人とをマッチングする転職支援ビジネスに関連して、自分に向いた転職支援サービスを探すマッチングサイトはどうだろう…といったアイデアが聞かれます。

 

確かに、どの転職支援サービスが良いか分からない…という顕在化した顧客の“問題”にアイデアを得ているのですが、これを聞いていかがでしょうか?

 

問題解決にあたって、問題の設定が難しい…ということは、問題設定について一定の判断軸が必要であることを意味します。

 

これは言い換えるならば、問題の性質をどんな軸で分類して認識するのか、ということでもあります。

 

そして、この「問題設定軸問題」には、これまでの経験で分かっていることがあります。それは、問題設定の“時間軸”ということです。

 

問題解決の時間軸を短くとると、既に顕在化した問題に意識が向きます。反対に問題解決の時間軸を長くとると、問題の原因に近い潜在的なところに意識が届くことになります。

 

これはどちらが良いといったことではなくて、ご自身のビジネスにおける問題解決の時間軸について分かった上でやりましょうということです。

 

目先で起こっている短期の問題というのは、多くが社会法則的な問題として顕在化します。

一方、長期の問題というのは普遍的な法則への対応であり自然法則的な問題対応です。

 

この短期的問題、長期的問題は常に併存しています。よって、ビジネスが顧客の問題解決であるならば、ご自身のビジネスが、その問題設定という時間軸の中でどのような意図を持って設定するのかが重要なのです。

 

問題設定において短気は3年、長期は10年です。その時間軸視点で新たなビジネスアイデアを評価してみる意識が大切であり、原則として長期、10年単位の世の中の根本的な変化に賭けてみることが大切です。

 

より長期の問題解決の視点でビジネスアイデアを評価していますか?

ビジネスの核を社会法則よりも自然法則に寄せていますか?

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