【第357話】商品サービスの提供方法の違いで高収益化する方法

「〇〇みたいに販売したらどうでしょうか?」と、現在、新商品、企画開発真っ只中のプロジェクトマネージャから嬉しそうなご連絡。

 

考えて、苦しみ、少しずつ新商品のキーコンセプトも固まりつつあり、試作品の仕様検討が大詰めを迎えています。

 

嬉しそう…、それもそのはずです。今回の新商品開発では、新商品をカタチに仕上げるのみならず、提供方法まで含めて検討することを目標として掲げており、その切り口、ヒントが見えるようなところまできたからです。

 

しかし、この山登りはまだ五合目ですし、本当に苦しいのは山頂が見えてきた九合目からだったりします。

 

常々、新商品開発、新分野進出、新事業構築…というのは、新商品サービスの企画開発のみならずその提供方法、販売方法まで考えて準備して初めて完成と呼べるものだとお伝えしています。

 

実際、新商品だけはパッケージまで含めてカタチにできたけど、そこから販売を開始してみたら、誰も取り扱ってくれない、全く売れない…、となって初めて準備不足であったことに気付くことも多いものです。

 

この場合、販売にテコ入れするためには、商品コンセプトにまで立ち返って、ビジネスの全体を整え直すことが必要となり、その手戻り労力と精神的負担は極めて大きくなります。

 

一般に、提供方法の違いによる事業の分類は“業態”と呼ばれます。ところが、この業態という言葉が、「商品をどのような売り方をするのか」という観点から、主に、スーパー、コンビニ、ホームセンター…といった小売業や、食べ放題、回転寿司、デリバリー専門…といった外食産業で用いられてきました。

 

このため、モノづくり企業にあっては、「ウチは業態屋さんではないので…」と、業態や提供方法という言葉に軽い嫌悪感を持っておられ、それが「いい商品さえ作れば…」というプライドに拍車をかけてしまい、結果、新事業と言いながら新商品サービスだけで提供方法や販売方法が全くないという地獄のような状況が生まれます。

 

まずは、その提供方法に対する嫌悪感は、誤解だということをご理解ください。

 

ここでお伝えしている“提供方法”とは、新商品サービスをお客様にどのようにお届けするのかというもう一工夫のことです。決して商品サービスは何でもいいので、売り方だけ考えましょう…などとお伝えしているのではありません。

 

大切なことなのでもう少し補足すれば、提供方法の中身は二種類あって、それは「付加価値」、と「買いやすいさ」です。

 

例えば、水であれば、水道、PETボトル、ウォーターサーバーで、同じ商品、同じ商売ですか?ということです。

 

提供方法とは、差別化ではなくて付加価値、売り方ではなくて買い方です。あくまでもお客様目線でもう一工夫考えませんか?というのが、新商品サービスを完成と呼べるレベルまで高めるために大切なのです。

 

実態的には、提供方法ということへの理解が浅いことで、人と違う、誰もやっていない、ここらへんに無いといった差別化視点や、サブスク、定額制といった流行りのキーワードだけ付けた単なる値引きに過ぎない売り方に留まっているのは残念なことです。

 

こういった本質的な価値提供をおざなりにした提供方法視点だけの商売構築というのは、問題があります。それは短命だということです。短命なために初期投資の回収もままならず、よって、次の一手の準備に賭けられる時間もおカネも貯まらないことになってしまいます。

 

また、提供方法だけの商売というのは、基本的には流通業の構造にあって、流行りモノ、売れるモノを持ってくるビジネスです。このため、能力・技術的にも高まることがなく、人材の育成も進まないため、せっかくの新たな挑戦が蓄積を生みにくい構図にあります。

 

新商品サービスの企画開発だけでも大変なことは重々承知しています。だからこそこの努力を水の泡にしないためにも、もう一つ先、提供方法まで考えて準備することが大切です。

 

新商品サービスであればこそ提供方法まで考えていますか?

渾身の新商品サービス、お客様に届くところまで準備しませんか?

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