【第343話】経営者にとって大切な“数字”の意味

「この年に売上と利益率が落ち込んでいるのは、ソフトの提供方法を販売型から利用料型(サブスク)に切り替えたためなんです」と社長。販売拡大と将来収益のために足元の売上を落とす覚悟で収益構造の転換を図ったとのことです。

 

言うまでもなく、優れた経営者は“数字”に強い傾向があります。あるいは「経営は、突き詰めれば数字だ」と断言される社長もいるほどです。

 

ここで経営の“数字”といっても、すぐ頭に浮かぶであろう決算書、企業会計…といったことではないということをまずお伝えしておかなければなりません。

 

もちろん、こういった制度、仕組みについてしっかりと理解しておくことは大切です。そういった一般的な枠踏みで理解しておくだけでは足りていなくて、ご自身のビジネスの構造を“数字”で構造的に捉えていることが大切なのです。

 

大切な点なのでもう少し補足すれば、例えば、結果指標的な経営数字、例えば、売上高、店舗数、従業員数といったことが経営目標になっていませんか?ということです。

 

こういった結果を生み出すためにどんな数字的な構造をビジネスに埋め込もうとしていますかとお聞きしています。

 

もう少し具体的に言えば、売上はどのように生まれるかについて数式で現わすことができるでしょうか。

 

例えば、売上高=商品単価×販売数量、売上高=サブスク単価×利用者数、売上高=市場規模×自社シェア…、売上高を構成する数式だけでも限りなくあることがお分かりいただけるものと思います。

 

少し話は逸れますが、経営において大切な数字をまとめた「決算書」のマネジメント上の最も大きな問題は、費用については多岐にわたる勘定科目がありながら、もっとも大切な売上がたった一行という点です。

 

確かに、企業会計は実績報告や納税が主たる目的でるため、これで十分なのです。ところが実際に企業を成長発展に導いていこうとするならば、これだけでは不十分とお伝えしている主旨をお分かりいただけるものと思います。

 

さらに、売上の数式だけではなくて、この売上をどういった費用構造で実現していくのかという点も併せて重要になってきます。

 

「経営は数字である」ということの本当の意味とは、一般的な企業会計の数字に加えて、それらの数字がどういったことで生み出されてくるのかという構造上の建付けについて自社オリジナルな考え方を持っているかどうかということです。

 

例えば、売上の内訳式だけではなくて、売上を伸ばす数式を説明してくださいと言われて、説明できますかということです。

 

例えば、「毎年、広告から新規の顧客を〇千人程度獲得することができ、顧客リストに加えていくことができます。この新規顧客の内、×%が継続顧客となり、複数回の継続購入によって平均的に〇円の累積購入が期待できます、よって…」といった説明ができることが大切なのです。

 

一方、経営の数字的な建付けが大切だとこれだけお伝えしておきながら、数字的な建付けの事業モデルに当てはめて、中身や商品は何でもいい…といったことをおススメしているのではないという点について、あえて補足させていただきます。

 

こういった数字・数式で強い仮説を持って経営にあたっていると、取組み結果の検証から面白いことも見えてきたりします。例えば、顧客リスト、メルマガ登録者数、SNSフォロワー数といったことが一定数を超えると広告やメルマガ配信に対して購入者率が上がるといった不思議なことです。

 

このように数字・数式として見出した新たな見識は、それ自体がビジネスの根幹を成すノウハウになります。

 

そのノウハウを使って、再現性高く次のビジネスを成功に導くことができると言う意味で、数字・数式による経営、「経営は数字だ」が強いのです。

 

自社独自の売上式を持っていますか?

売上式で売上の伸びを説明していきませんか?

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