【第338話】経営の核に“保守性”を据えることが進歩発展への近道である理由

「しっかりとした経営を続けていこうとするならば、絶対に“コンサバ”じゃないとダメだと思ってるんです」と某社長。

 

コンサバとは、コンサバティブ、保守的、旧守的、無難…。そんな意味ですから、こちらの会社の経営がリスクを取らずに無難で、結果、業績もボチボチ…と想像された方が多いのではないでしょうか。

 

ところが、実際はといえば全く違います。こちらの社長、経営に対して保守的かといえば、そうではなくて、これまでにいくつもの事業を立て直し、現在も新会社をどんどんと伸ばしておられる名社長です。さらに、次なる事業展開も用意周到ですし、情熱を持って着々と行動されています。

 

では、どこがどうコンサバなのかといえば、経営の核の部分に、ある種の保守、歴史、伝統…といったことを据えた上で、ビジネスとしての手法、やり方を工夫されているのです。

 

大切なところなので補足するならば、ビジネスの核となるところは伝統的な価値に立脚しつつ進化させ、そこに今時なテクニックも駆使しながら事業全体を構築することで、新しいビジネスに仕立て上げていっているのです。

 

要は、核となる提供価値はコンサバに立脚しつつ、提供の仕方などは今時という訳です。

 

この「考え方」がコンサバで「やり方」がニュータイプという組合せでビジネスの全体を進化させるアプローチは、ビジネス構築の最強パターンです。

 

こういった、核にコンサバを据えたビジネスの計画というのは、分かりやすいものです。計画がとてもシンプルで美しく、一度、聞くだけで、モノになるであろう未来を感じることができます。

 

そう断言できる理由はシンプルです。これこそが進歩発展の王道パターンだからです。コンサバティブなプログレッシブこそ、本物の進歩だからです。

 

よく耳にするパターンがあります。それは技術的な進歩が未来を変えることで新しいビジネスが生まれる…といった文脈です。

 

例えば、これからはAIだ、バイオだ、ロボットだ…といった話です。これらの分野における著しい技術進歩が期待できるために、いずれその技術進歩が新しい市場を創るだろうという文脈です。

 

よく聞くこの文脈には、根本的な間違いがあります。それは、技術が進んだところでその技術を市場化するにはもう一工夫必要だし時間もかかるということを忘れています。

 

技術的・手段的に新しいだけで新たなビジネスになるなどと思わない方がいいのです。新技術といっても使えるようになるまでに大抵は20年程度を要するものです。技術の進歩発展はとても大切なことですが、その技術をお客様のためにどう使うかを考えるまでがビジネスだからです。

 

当然のことながら、我々はビジネスマン、商売人なのです。商売を通じて世の中に貢献すべき立場です。謙虚にその立場に立って物事を考える意識が大切です。

 

セカイを変える、地域を元気に、みんなを笑顔に…、こういった叫びは一見、素晴らしいように聞こえるかもしれません。しかし、あなたが経営者であるならば、「どのようなビジネスで」という具体的なアプローチを欠いているという点で、これらの叫びは実現性に乏しいと言わざるを得ません。

 

弊社は、新事業構築、新分野進出、新商品企画、販売拡大、設備投資…、いわば経営のアクセルを踏む後押しをさせていただいています。このような立場から「コンサバに」というのは矛盾するように聞こえるかもしれません。

 

しかし、歩みを進めていく中で、外れないことも大切なのです。イケイケドンドンだけで新たな事業を成功に導くことなど到底できません。ですから、外れないためにも大切なのが商売の核に「コンサバ」を据えることなのです。

 

新事業立ち上げの実際とは、いくつもの挑戦ステップで部品を創り上げ、それらを丁寧に組み立てていくような、大胆さと繊細さによって積み上げられるようなものだということをお忘れなく。

 

御社の「コンサバ」、ビジネスの核となる価値は何ですか?

コンサバ意識を持つことで、進みつつも外れないようにしていますか?

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