【第312話】今こそ、独自性で躍進する。

「御社の“社外企画室”というフレーズが気になりまして…」とお声がけいただき、社長と面談してきました。

 

社長からは、現状についてお聞かせいただき、弊社からは「躍進のために欠かせない“独自性”の企画法」について、事例を交えながらお話させていただきました。

 

そもそも、自社の商品・サービスに独自性がないなどと考えている経営者はいません。ところが、いざ自社の独自性をご説明いただくと、品質へのこだわり、お客様思いの納期、効率的な価格…、どれもこれもフツー。もっと言えばプロの仕事人として当然のこと…に留まってしまいがちです。

 

なぜ、自社の独自性を説明しようとすると、フツーになってしまうのかといえば、そこには面白いほどの共通点が存在します。

 

それは何かといえば、独自性と考えていることが「やり方」レベルだということです。事業として考えていることがオペレーションレベルなのです。

 

大切なことなので、もう少し補足すれば、自社の事業、商品・サービスの独自性を説明しようとして、能力・技術の高さや商品・サービスの特長を語っていたとするならば、それは、目に見えることであるがゆえに、他社と同じ尺度の上に自ら乗ってしまっていませんか…ということです。

 

独自性とは「やり方」ではなくて「考え方」に宿るものです。そういった「やり方」をなぜ選んでいるのか…といった方が分かりやすいかもしれません。

 

例えば、ヘッドホンを作っているメーカーの新商品で、「人間工学に基づき設計され、長時間の利用でも耳が痛くならず快適です」というウリ文句があったとします。これは、設計の違いを独自性と捉えているという点で「やり方」レベルに留まっているといえます。

 

一方、「通勤電車をライブに。新開発のイヤーピースで音漏れを最小化、混雑時に引っ掛からないワイヤレス化を実現」となるといかがでしょうか。

 

これは、考え方、設計思想について語っているという点において、独自の発想領域に到達しているということがお分かりいただけるものと思います。

 

こうした独自性の有無は、断熱容器の保温性を「過去最高の保温性能」と言ってしまうか、「おいしい温度をいつまでも」とまで言えるかというビジネスの根本的な違いを生み出します。

 

このように、独自性は考え方に宿るものです。そしてこれは決して言葉遊びなどではありません。事業の思想、核心部分ともいうべき大切なことです。

 

この独自性の有無は、その先の躍進具合にも大きく影響を与えます。

 

作業着メーカーが、自社事業を「高機能ウエア」という独自性思想を設定できたならば、そこからは、作業着だけでなく、アウトドア、釣り、バイク…、機能性が求められる多くの分野へ用途展開していくことが容易になります。

 

このように、優れた独自性は、常に新しい切り口で市場を生み出すと同時に、一本の軸を通しつつ新事業分野へ迷いなく進んでいくための指針を与えてくれます。

 

今、足りてる時代にあって、能力・技術、あるいは商品・サービスの分類やその特長で自社の事業を語っていたとするならば、そのメッセージは何を意味しているのかを考えてみて欲しいのです。

 

このメッセージを、ホームページやパンフレットでいくら叫んだとしても、それは「こんな仕事、できます」といっているにすぎず、よって、顕在化した需要を「下さい」と言っているに等しいということです。

 

そのメッセージを見て聞いて「欲しい」と思えるかどうか。需要を創出するというのは、そういうことであり、そのためには「やり方」レベルのメッセージを卒業して、「考え方」レベルで発信していくことが不可欠です。

 

そして「考え方」で事業や商品を説明するためには、自分たちで考えた言葉で具体的に説明することが大切です。

 

事業、商品・サービスを「考え方」レベルで説明できていますか?

その説明はポエムではなく具体的ですか?

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