【第294話】経営のたくましさと収益性を高める専門性の原則

経営を伸ばしておられる電子通信系製造業の営業戦略会議、営業担当者の「お客様の言い値で量を増やし貢献します」という発表に社長の檄が飛びます。

 

「言い値でするなら、無料でしたらどうなんや。その代わりに君の給与を無償にしたらええやん。それでええのかぁ」。

 

社長のフォローが続きます。「そうではなく、いかに市場動向をみながら問題意識と学びで悩み、ここから生まれる創意工夫で新しいものを生み、この新しいものを受入れやすいお客様へ提案し、この提案の価値を分かって頂いた売上こそがお客様への貢献にもなる」。

 

そして、こうも続きます。「この創意工夫が自分たちを成長へと導き、このようにして生まれた対価が皆さんへの還元の源泉となり企業の盛衰をも決める」と。

 

経営方針として、請け的な仕事から企画開発、自社オリジナルの製品開発の割合を高めようと舵を切っておられるだけに、社長自ら従業員への意識醸成にも熱が入ります。

 

こうして苦労して開発した製品であっても、長い目で見ればいずれ製品力が衰え、幾度かのマイナーアップデートを経て、収益性が低下していきます。これは、製品単位に限ったことではなくて、企業単位としての栄枯盛衰の法則でもあります。

 

これは、製品ライフサイクルといったことですが、どれだけ市場・顧客に応え続けることができるのか…、このライフサイクルの判断は極めて難しいことです。

 

実際、販売開始から10年も経って大ヒットにつながった製品や、もうダメ、無理…といった廃盤の淵から、ちょっとしたマイナーアップデートで、もう一度、稼ぎ頭へと返り咲いたという話は枚挙に暇がありません。

 

一方、開発サイドとして難しいのは、開発を進めて新製品を世に送り出すことで、従来製品を相対的に劣化させてしまい、製品ライフサイクルを自からの手で縮めてしまうことにもなりかねないという点です。

 

ただし、分からないからといっても、製品の収益性を考える上で参考となる指標を推察することは可能です。

 

まず企業単位ですが、日本の企業における欠損企業、つまり赤字企業の割合は約7割です。これは足りてる時代にあって黒字企業が3割ということであり、しっかりと黒字企業であろうとするならば、トップ3割に入り続ける意識が欠かせないことを意味します。

 

そして、面白いことに、経験的ではありますが、製品ラインナップにおいても同様の傾向があります。それは、製品ラインナップのうち利益貢献しているのは全体の3割程度という法則です。

 

この法則に気付いている企業は多く、よって、収益性の向上に向けて「新製品割合3割以上」といった経営目標が設定されています。

 

弊社では、これを「トップ3割の法則」と呼び、経営意識、新製品の開発目標水準、販売開始の目安として度々お伝えしています。

 

この「トップ3割の法則」に照らして考えるならば、製品の出来栄えが平均レベル、学んだこと程度で出来上がった水準にあったならば、それは相対的に5割辺りに居るということですから、その新製品は販売を開始して例え売れたとしても、残念ながらその売価はすでに赤字領域だということです。

 

黒字の新製品開発をしようと目指すならば、相対的にトップ3割に入る開発目標イメージが欠かせません。そして、このトップ3割に入る開発を実現していくために欠かせないことがあります。それが“専門性”です。

 

専門性というと技術力と思われがちですが、ビジネスにおける専門性とは、そうではありません。技術力という習得努力に、お客様理解があって初めて専門性と呼べるのです。これは例え後発組で技術が劣っていたとしても、お客様理解次第で勝算が見い出せる可能性があるということでもあります。

 

この専門性のことに気付けば、新製品の開発は、技術と営業が一体となって取り組まなければないことを教えてくれます。この専門性意識を忘れたならば「新製品なのに半値8掛け」といったお客様の値切り攻勢に返り討ちされ、売れたのに赤字という末路が待っています。

 

トップ3割の経営意識・開発意識を持っていますか?

本物の“専門性”を追求していますか?

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