【第292話】経営者にいまこそ必要な本物路線への乗り換え方

「なんだか、見えちゃうようになりました」と仰るのは、自社の商売について立ち返って整え直したことでお客様への刺さりが強くなり、業績を伸ばしておられる社長です。

 

何でも、これは同業種に限ったことではなくて、他の様々な商売にあっても、その経営の違いが透けて見えるようになったとのこと。

 

では、その経営の違いとは何なのでしょうか。この“分かる”というのは“判る”に近い感覚で、多くの経営者が独自の感覚を持っていて、他社の判別軸をも嗅ぎ分けます。

 

このため、この判別軸の近しい経営者同士というのは業種・業態が違えど近寄りやすい一方、判断軸の遠い経営者同士というのは近づきにくく、自ずと棲む世界が違ってきたりします。

 

当然のことながら、この判別軸とは、売上高や従業員数…といったこと、企業の大小ではありません。

 

では、経営の本質的な違いを判別するような思考の軸とは一体何なのでしょうか。それは「独自性」です。経営がユニークな存在、独自性の領域にあるか否かです。

 

どんな経営にあっても、経営者であれば「自社に独自性はある」と考えています。ところが、ここですでに何を独自性と考えているかという点で大きな違いが現れます。

 

ここで独自性とお伝えしているのは、やり方レベルのことではなくて考え方レベルでの独自性だということです。

 

例えば、レストランを開店するのに独自性を問われて「珍しい食器を使います」と答えるようなことです。

 

つまり、レストランとしての基本思想、提供価値をさておいて、提供の仕方レベルを経営の違いと考えているようなことです。

 

あるいは、独自性をビジネスの費用構造で説明されることもあります。例えば、居抜きなので初期投資を低く多店舗展開できる、財務の悪い企業を対象にしているので買収価格を抑えて売上を買うことができる…といったことです。

 

これらを聞いていかがでしょうか。本質的な意味で商売の強みを構築できていると言えるでしょうか。これらは確かに、ある状況場面によって起こっている隙間や利ザヤを商機として見出しています。しかし、本質的なことをおざなりにしていると言わざるを得ません。

 

それが「独自性」なのです。独自性とは、あくまでも御社が考えて生み出した付加価値であって、市場側の変化で生まれた隙間を目ざとく見つけるといったこととは根本が違います。

 

例え一度は目ざとく商機を見出したとしても、それだけで強く永い商売に育てることはできません。なぜならば、その隙間や利ザヤはあっという間に埋まってしまいます。その先を目指そうとするならば、いずれ必然的に独自性領域に踏み出さなければなりません。

 

独自性領域の商売というのは、いわば市場創造、顧客づくりのプロダクトアウト型のビジネスを構想することです。これは言い換えるならば「欲しい人には欲しい」ということを新しく創ることでもあります。

 

このため、商品サービスの開発に加えて、この欲しい人を探し出すという営業努力が必要不可欠になってくるという点でハードルの高い難しい経営アプローチです。

 

しかし、それでもなおこのアプローチを強くおススメしているのには理由があります。それは、これこそが経営の本質的な成長であり、価格ではなくて価値でお客様を喜ばせる経営であり、御社の存在意義と豊かさを伴う本物の道だからです。

 

これから売れるモノは…といったマーケットイン発想が推奨される風潮はとても危険です。それは、種まきもせずに収穫だけ便乗させてと言っているに等しいからです。

 

他社とは違うと声を大にしたいならば、独自性を宿すことです。これこそがお客様から本物という認知を得るための絶対条件です。

 

何が売れそうか…といった答え探しは止めて、どんな商売でも創意工夫で採算に乗せてみせるという経営者の思考的努力で事業を育てる意識が大切です。

 

御社の独自性は新しい価値を生んでいますか?

売上探しとは違う本物の成長を歩んでいますか?

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