【第282話】本気の経営メッセージが“日本語”でなければならない理由

「ということで、全店でこの方針で展開していきます」と迷いなく宣言されている社長の姿はとても頼もしいものでした。ここしばらく、新たな成長ステージを目指し、自社にしかできないオリジナルな展開戦略を仕込んできました。

 

もちろん、準備できたことは、順次、現場に導入してきましたが、今回の宣言は、これらの集大成。社長ご自身が最も手応えを感じておられます。

 

不思議なもので、優れた経営者というのは、相手の話し方からその人の多くを嗅ぎ分けます。ただし、それは実のところその人の“話し方”によるものではありません。

 

実際、短いスピーチなどであっても、「〇〇社長、キタね」などと友人社長に耳打ちされることもあります。そして、キタと言われる社長は、必ずといっていいほど…、当てます。

 

これは実に単純な話しです。社長の頭の中で既にシミュレーションが完了していて、カラフルな未来がイメージとして描けているからに他なりません。

 

そして、そのシミュレーションの仕上がり具合が見えるのは、自分の腹に落ちた「自分の言葉」で話しているかどうか、という点です。

 

この「自分の言葉」で最も大切なことは“日本語”であるということです。なぜ、日本語で語ることが大切なのか、それにはもっとな理由があります。

 

それはともかくとして、弊社では、新製品、新製法、新工法…、こういったことのネーミングにあたって日本語を原則としています。

 

さらにお伝えすれば、方言やダジャレは厳禁、全部カタカナもダメで漢字ひらがなとカタカナの混成までをギリOKとしています。ただし、例外があり、それは唯一、技術用語、テクニカルタームの場合のみとしています。

 

なぜ日本語なのか…、ということについて先に答えをお伝えすれば、その方が売れるからです。

 

新たなビジネス、特にオリジナルなビジネスを立ち上げていこうと考えるならば、その技術や製品がどれほど優れていようとも、お客様にお買い求めいただかなければ、さらにいえば、採算に乗せなければ成功したとはいえません。

 

そして、そういった一種の成功領域にまで持ち上げていくためには、その新製品がお客様にとって、支払額に見合ったお値打ちであることを伝えていかなければならないことは明らかです。

 

この際、大切になってくるのが“日本語”なのです。

 

ちなみに、言語や文字には大きく「表意文字」と「表音文字」があります。表意文字とは、文字自体が意味を持っているもので、日本語などがそうです。そして、表音文字とは、文字が発音記号になっているもので、英語などがそうです。

 

もちろん、昨今、英語でビジネスピッチをお聞きする機会も多くなりました。これ自体は多くの方に自社の事業をご理解いただくために必要なことです。ただし、こういった際でも、直接、英語で書かずに、まずは日本語で書いて、それを英語に翻訳するという手順をおススメしています。

 

日本語は「表意文字」です。文字の一つ一つに意味があり、日本人はその文字から多くの意図を汲み取ります。つまり、一文字に対して情報量が多いのです。

 

このため、日本人は“意味”で意思疎通を行う人種であり、このことに立ち返るならば、こちら側が日本語で自分の意志をしっかりと説明できない限り、相手にその意思が伝わるはずがないのです。

 

もう少しハッキリと申し上げるならば、日本語をデザイン上の理由から単にアルファベットにしてみたり、日本語で考えることなく先に英語を当てはめていたりする時点で、十分に考えることを放棄しているに等しく、メッセージが発する情報量を失っているだけに過ぎないということを理解しておかなければなりません。

 

分かった、これだと、たどり着くように、ご自身の意志を語る日本語で、「表意文字」に落ちるところまで考え貫くことが大切です。

 

社長ご自身の意志を日本語で語っていますか?

表意文字で経営メッセージを叫んでいますか?

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