【第267話】経営計画はどのようにリスクテイクを「計画」するのか。

「今月中に来期の経営計画の素案を作って各部に示さないと、各部の策定が間に合わなくなるので…」と、とある経営者の頭は既に来期に向けられています。

 

街は早くもクリスマス商戦。そして、経営者の頭は来期の勝負、経営計画に向いてくる時期になってきました。

 

「経営計画」と聞くと、分析的、論理的、網羅的…、読み手にとっては淡々としたものを思い浮かべるかもしれません。

 

確かに目にする多くの経営計画は、そういったものが多いのも事実です。ただし、それは公表されている上場企業のものが多いからに他なりません。

 

上場企業の場合、経営計画の公表自体が株価に影響を及ぼしますし、計画を公表する以上、それはある程度、恣意性を排除した見通しある根拠に裏打ちされたものですから、情熱的というよりはむしろ冷静で淡々としたものになりがちです。

 

一方、非上場の中小ベンチャー企業の場合、様相が異なります。経営計画発表会などに出席させていただくこともありますが、まさに千差万別。社風を現わすイベントでもあり、笑いや音楽ありのポップな会から、関係者への益々のご協力をお願いすることを念頭に、とても礼儀正しい会の場合もあります。

 

いずれにしても、世の中が変化していく中で、未来に対して計画を立てるということは一体どういうことなのでしょうか。

 

計画どおりにいかなかったとしても「計画」が必要なのでしょうか。そもそも経営計画とは何を計画するのでしょうか。あるいは、計画することによってどんな良いことがあるのでしょうか。

 

経営計画を真剣に策定しようとすると、策定しながらこういった根源的なことが頭の中を渦巻きます。そんな時間を減らして計画策定に集中するためにも、「計画」のことについて、考えておきたいところです。

 

まず、多くの計画は「目的目標を達成するために、どのように計画を立てるべきか」という計画の立て方自体に焦点が当てられてきました。

 

これは、例えば、なるべく緻密な計画を立てて、その結果をフィードバックして新たな計画に反映するプロセス、いわゆる管理過程やマネジメントサイクルといったことです。要は「計画」自体を成長マネジメントのプロセスと考えるものです。

 

このように、「計画」自体を目的目標達成へのマネジメントプロセスと考えるならば、目的目標の達成のためには、計画の立て方が重要という考えに行き着くということです。

 

このため、まず現在の経営計画が十分でないとお感じならば、経営計画の立て方といった教科書的なところから始めるのがよろしいでしょう。

 

そうしているうちに、策定していく中で自ずと目的目標自体の修正を強いられることとなり、経営計画策定のそもそもの難しさは、自社はどこへ向かって行くのか…、目的目標の設定にあることに行き着きます。

 

そして更に考えていくと、不確実性の高い経営環境においては、計画で定めたことを実施することそのもの、つまりアクションプランが大切なのではなくて、計画という仮説を頭に描き、それを実験により確かめていくといったような、経営計画の策定自体が経営者の思考レベルの向上トレーニングであるということに行き着いていきます。

 

こういった、仮説志向の経営計画策定は、性質上、具体的なアクションや予算といったことよりもむしろ、その仮説が当たっていたのかどうかを測定して検証していくことが重視されます。

 

これは、経営計画が、世の中に対する仮説検証であり、それと同時に、経営者が限界を超えていくためのイマジネーションを高めていくためのトレーニングであることを意味します。

 

経営計画がこういったレベルに到達すると、「計画」は極めて深沈厚重なものになります。仮説に賭け、静かにリスクを取り、本気で先手を打っていく…。

 

自分にしか見えていなかった世界が時間とともに現実化していくのですから、経営者として言葉では言い現わすことができないような超越感を覚えることでしょう。

 

御社が見ようとしている仮説は何ですか?

経営計画は仮説が正だった側に賭けていますか?

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