【第26話】手詰まりにしない投資思考法

資金の流れから見れば、経営とは「回収+リターン」を期待した「投資」です。無機質な言い方ですが、これは認識しておくべき事実です。

 

回収は前提とする目標。経営者はこれら投下した資金以上の回収、すなわちリターンを目論んで事業を設計しなければなりません。

 

何としてでも投下した資金の回収と、それに加えてリターンを得る、という意識が無ければ、ほとんど確実に投資を回収する事さえ困難になります。

 

成熟市場の下で競っています。ぼちぼち続けていければ良い、長くなってもいずれ回収できれば。。。といった意識レベルで商売を続けられる時代ではありません。

 

投資回収、投資リターン、に対する認識が低いまま投資をするとどうなるか。お店を持ったり、工場を持ったり、立派な事務所を持ったりする事そのもの、外見を手に入れることが目的化してしまいます。

 

この場合、回収・リターンまでのイメージが出来ていないまま事業を開始することになるので、手探りで経営していくことになります。投資しちゃった後で、回収の方法を考えながら経営している状態です。早いうちに上手い方法が見つかれば御の字ですが、大抵はそうはいきません。

 

事業の開始や拡大にあたって、よくお見受けする勿体ない考え方の一つは、先行事業者のやり方を真似して事業を開始しようとする方がとても多い、という事です。

 

こう申し上げると、ウチはココが違う、と商品やサービスの違いをご説明いただきますが、そういった事を申し上げているのではありません。

 

今からそのビジネスを始めるのに、なぜ、昔始めた方と同じやり方をしようとするのですか?と申し上げています。

 

確かに、成功している先行事業者を「ああいう風になりたい」とロールモデルにすることは事業を飛躍させるために必要なケース研究です。

 

しかし、何年も前に事業を始めた方が今やっている方法というのは、実は既に古くなっている可能性が高いのです。今はもっと良い方法があるはずです。特に金融スキームは劇的に進化を遂げています。何も古い方法でこれからスタートしなくても良いのではないでしょうか。

 

特に、店舗、工場、設備といった初期投資が大きく、回収に長期を要する投資については注意が必要です。みんなこうやっている、といった安易な認識から、新しいもっと良い方法という選択肢をほとんど検討せずに投資を行ってしまっている方があまりにも多いと感じます。

 

経営という視点に立てば、“違い”を生むのは商品やサービスだけではありません。資金の回し方として投資をどう設計するかについても、自社独自の考え方を画策していかなければなりません。

 

不確実性の高い経営環境にあって最も留意しなければならない点。それは「経営は“資金”が尽きたら終わり」という原点的認識です。ですから“資金”の持ち方・使い方こそ徹底的に考えなければならないのです。

 

とても簡単に言ってしまえば、自社のバランスシートをどう作るかという事について、イマドキな考え方の軸を持ちましょうという事です。損益も大切ですが、その損益を生み出すバランスシートをどう作るかが重要なのです。

 

経営を手詰まりにしないためには「投資はリターンを得るための挑戦である」という意識が大切です。設備オーナーになって借入金を返済することに挑戦しているのではありません。

 

なるべく持たない、なるべく買わずに借りる、投資するにしても段階的に、借入はなるべく長期で、現預金は厚めに。バランスシート視点で資金を限りなく固定化させないように事業を設計していくことが肝要です。

 

そして支払利息は資金を持っておく事に対する保険料だと割り切って諦めましょう。

 

不確実な経営環境が前提です。ですから、資金の固定化で経営のフレキシビリティを失わないような選択肢を選ぶことが大切です。

 

御社では投資に方針はありますか?

御社独自の思想を反映したイマドキなバランスシートになっていますか?

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