【第258話】社業を発展させる社長の個性の活かし方

少し悪く聞こえるかもしれませんが、経営者とは、つくづく何とも個性的で面白い生き物だと思います。千差万別すぎていつも楽しませていただきます。

 

ところが、お話して共通するところもあります。それは、サービス精神が旺盛、場を明るくする、面倒見がいい…といったことです。

 

そして、何より素晴らしいのは、誰かに盛り上げてもらうことなく「自ら盛り上がっている」ということです。

 

このエネルギーの源は何かそう一言で表現できるものではないにせよ、例えばまだ見ぬ世界への好奇心のようなものが起点にあって、それが様々なパワーとなり、そして個性となって現れています。

 

いずれにしても、社長の考え方が事業に反映されるという至極当然のことを前提とすれば、社長が個性的であることは独自路線の成長戦略を描くうえで極めて大切なことといえます。

 

しかし実のところ、その大切な個性が、必ずしも事業の成長に結びついているか…と言われれば、残念ながらそうなってはいないという現実があります。

 

つまり、個性を独自性にまで昇華してオリジナルな事業を展開できている社長と、そうでない社長がハッキリと分かれているのです。

 

社長が個性的なのに、なぜか経営が伸びない、伸ばせない…、そういった際に真っ先に疑ってみるべきことがあります。それは、「個性が、好奇心レベルか、探求心レベルかの違い」という点です。

 

もう少し補足すれば、好奇心が浅いままで探求心レベルになっていないと、企業訪問や海外視察といったことが、「これから伸びる商売は」、「次に儲かりそうなモノは」、「まだ知らないモノは」…、経営がどうしても単なる「おカネ探しのマーケティング」に陥りがちです。

 

そして、個性的だけど同じ格好をした人たちの間で、「コレ儲かるからやってみたら」といった手段レベルの情報交換となり、参入障壁の低いコピペ事業で短命に終わる…ということが繰り返されます。小手先の上手さ競争は、経営の本質ではありません。

 

これとは逆に、個性が独自性となって事業に現れている社長は違います。企業訪問や経営者同士の情報交換も欠かしませんが、そこで得たネタをそのまま商売にせず、一旦、ご自身でかみ砕いて組み立て直してから事業へと反映させています。

 

つまり、情報収集で大切なのは、ネタ自体ではなくて、ネタが生まれた背景、自分で組み立て直すための見方、考え方を修正するためのヒント…なのです。修正すべきは「やり方」ではなく「考え方」だということを重々ご存じです。

 

つまり、個性豊かな社長というのは、格好などの表面よりもむしろ考え方という内面が個性的だということです。様々な経験や情報収集を通じて自分なりの見方や市場への切り込み方について独自の考え方に達しているから、事業に個性という名の独自性が宿るのです。

 

みなさまにも思い返していただきたいのですが、話を聞いて「この社長、スゴイな」とお感じになったのはどんな方だったでしょうか。間違いなく、その方はご自身の独自の考え方、切り口をお話されていたはずです。

 

そしてそれは決して「次はこれが儲かる」といったような、知れば終わりの「ここだけの話」などではなかったはずです。

 

社長にとって個性とはパワーであり事業発展の種となる極めて大切なことです。しかしそれはキャラとか話し方といったことではありません。

 

せっかくお持ちのその個性を世の中のために活かしていくためには、ご自身の個性、考え方を自社の商品・サービスに反映して仕上げなければなりません。そこでその個性が単なる「好奇心」程度なのか、成功させるまでやり通す意志を伴う「探求心」なのかに分かれます。

 

個性的なキャラの社長が、やり方をちょっと変えただけのコピペ事業をやっている…、その世界に棲んでいる限り、本当の意味で持っている個性を活かした経営を実現することはできません。好奇心の世界を卒業して、探求心の世界で生きる覚悟を持つことが大切です。

 

個性が好奇心を超えて探求心になっていますか?

社長のキャラではなく、商品・サービスで認知されていますか?

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