【第234話】本物の成長をもたらす普遍性の探求

「正直に言いますと、これが欲しかったんです」、「よくここまでやりましたね」…、これはあるエッジの聞いた新企画商品の販売を開始し、最初の商談会にお出で頂いたお客様から言われたことです。

 

この新企画の打ち出しは社長の肝いりで、次の10年を見据えての覚悟を持たれて開発に取り組まれてきたものです。そういった情熱ある出発点から始まっていますから、その甲斐あって「欲しいお客様にはたまらない」エッジの効いた商品に仕上がっています。

 

これを逆からいえば、欲しくない人には全く欲しくない商品ともいえるのですが、それを十分に承知した上で、そういった“欲しい”という潜在的なお客様に応えるべく、その市場の創出自体に取り組んでいかれる覚悟と情熱を持って、開発が進められてきました。

 

こういった特別感ある新商品の商談会というのは不思議なものです。商談のテーブルへの着き方が違います。お客様からパートナーと見なされているため、商談テーブルを挟んで、お客様側とこちら側に上下感がなくフラットなのです。

 

本質的な成長を実現していくためには、高収益の起点となるポイントを創らなければなりません。そのポイントというのが正にこの商談テーブルへの着き方なのです。

 

これは、ある意味でお客様からの「敬意」や「尊敬」といったことです。先ほどのお客様の言葉を言い換えれば、「これが欲しい」は「良く欲しい商品を創ってくれた」ということですし、「よくやりましたね」は「リスク取ったね」ということです。これらは、商売人にとって最高の“誉め言葉”です。

 

見ようによっては、類似の先行する商品が全くないということではありません。しかし、この新商品がどのように“新しい”のかということをお客様は感じ取って下さっています。「待ってました!」とばかりに、とても楽しみに商談会にお出でいただいているのです。

 

このため、お客様はこの新商品、プロジェクトに対して、「敬意」を持って商談のテーブルに着いて下さっています。この時点で「欲しい」が先で「価格」が後になっているので、お互いにハッピーな商談が実現できるのです。決して「安いから」買われるのではありません。

 

企業の成長を考えた場合、主に二つのアプローチがあります。「考える」と「動く」です。「考える」ためにも、情報を収集したり整理したりと、ある種の「動く」ことが必要なため、これらは区別が難しいところがあるのですが、いずれ成長を目指すならば、これら「考える」と「動く」を増やしていかなければなりません。

 

大切なのはこの順番です。例えば、「動く」を先に増やした場合、短期的に売上利益の向上を実現することは可能でしょう。しかし…、ということです。最も重大な問題が置き去りにされています。

 

その最も重大な問題が何かといえば「収益性」です。低収益を「動く」、いわば運動量で補おうとすると、どうなるかということです。頑張りさえすれば数字上は補うことができたとしても、ビジネスの階層、レイヤーが同じところなのです。

 

これでは、他人と同じビジネスを、どれだけ頑張るか…。ビジネスが運動会のようになってしまいますし、創意工夫も「動き方」に限定されてしまうため、お客様から「敬意」を得るような独自性の高い商品は生まれてきません。

 

本物の成長とは、ビジネスステージ、レイヤーを上げていくことです。より高度な技術、これまでになかった商品、新たな“欲しい”の創出、お客様にもメリットあるお届け法…を進化させていくことです。

 

いずれにしても、本物の成長を目指そうとすれば、その起点となる改善は「収益性」です。収益性を高めるということは付加価値を高める創意工夫ですから、まずそれを「考える」ことから始めなければならないということです。

 

「考える」ことをさて置いて「動く」ことを増やすというのは、今よりも収益性の劣る事業へと降りながら拡大していることを意味します。売上を増やしながら利益率を下げつつ…ということです。この成長がいずれ限界を迎えることは自ずと明らかです。

 

「考える」ことから始めて「動く」へと運動量をシフトさせていく意識を持って、どちらのフェーズにあるのかというバランスを意図的にコントロールしながら、プロジェクトを進めていくことが大切です。

 

次の一手は、今よりも高収益ですか?

お客様の「敬意」を得る思考的努力、「考える」を優先していますか?

コラム更新・お役立ち情報をメールでお知らせします!

メールアドレスをご登録いただくと、コラム更新やコラムではお伝えしきれない情報などをメールでお知らせします。

こちらのページから是非ご登録ください。

経営者応援コラム