【第202話】独自路線の成長発展に“ネーミング”が欠かせない理由

「申請していた商標が通ったと、特許事務所から連絡がありました」と、嬉しいご報告がありました。

 

少し手こずったところもあり期間を要しましたが、とても嬉しいのは商標が登録になったということだけでなく、この“名称”が新たな事業領域、事業ドメインとして、必死で考えて、たどりついたものだからです。

 

だからこそ…、何というのでしょうか。大海原で沈没船を探し当てたような、スキー場で落としたカギを見つけたような、小さな川で尺級のヤマメを釣り上げたような…。そんな叫びたいような気持がこみ上げます。

 

簡単そうにも聞こえますが、事業や商品に名前を付けること、すなわち“ネーミング”というのは、とてもとても、それはそれは大変です。単に名前を付ければよいというものではないからです。

 

「頭の中にはあるんですけど…」、「ここまで出てきてるんですが…」、「う~ん、何ていったらいいのか…」。商売を本質的なところまで掘り下げていくと、必ずそういったところに行き着きます。

 

勉強されている社長の場合、経営に関するボキャブラリーが多いため、苦しくなるとそういった知られた言葉や用語で代弁されるのですが、それはあくまでも一般用語であって、御社の言葉ではありません。ですから、御社の経営の説明にもなりません。

 

社長が「弊社は技術力を中核に据えた“コアコンピタンス経営”です」とか、「弊社は理念を大切にしている“ビジョナリーカンパニー”です」とか、「弊社の組織は“ストラテジック・ビジネス・ユニット”です」とか…。経営上の価値観や姿勢としては分かるのですが、これだけでビジネスが成長発展するならば苦労はしません、ということです。

 

もちろん、私も経営研究者、科学者の末席を汚す者として、これら先人方の知恵を拝借して進歩発展させることは大切と考えておりますが、これにそのまま便乗しているようでは、如何なものでしょうかと思うのです。

 

「「ラーメン二郎」をインスパイアしているので「ラーメン三郎」にしました」というのが果たして進歩発展と呼べるのか…ということです。企業を導く経営者として、それではあまりにも足りないのではないですか…とお伝えしたいのです。

 

“ネーミング”は、とても苦しい思考的作業のため、逃げ出したくなるのですが、ここが踏ん張りどころです。ですから、この苦しさから逃げないためにも、弊社ではダジャレや方言での“ネーミング”を止めていただいています。

 

不思議なもので、自社の事業や商品をご説明される際に「請け型」でビジネスをされている経営者と、「提案型」でビジネスをされている経営者とでは、その話ぶりに決定的な違いがあります。

 

それこそが、“ネーミング”に対する重視度の違いとして現れます。請け型でビジネスをしていると、端的な場合、実は“ネーミング”したことがないのです。

 

当然のことですが、独自にビジネスを展開しようとすれば、その事業モデルにも、事業ドメインにも商品にも独自の“ネーミング”が宿るはずなのです。

 

例えば、「弊社の事業モデルは、製造メーカーに卸売機能を包含した“メーカー・ベンダー”で、成熟技術に一捻り加えた“なるほど家電”をお手頃価格でお届けしています」といったことです。

 

独自路線を歩めば、それは必ず独自ネーミングのオンパレードになるはずなのです。しっかりと、深く考えれば、事業理念、事業ドメイン、コンセプト、マーケットカテゴリ、商品名、販売チャネル構造、販促コピー…、何から何まで独自の“ネーミング”になるはずなのです。

 

弊社では、プロジェクトの推進にあたり、特許、実用新案、意匠とならんで、商標の取得も重視しています。場合によっては、ネットのURLとして漢字ドメインを取得しておくこともあります。

 

誰かの知恵に便乗したレベルで終わるか、ご自身のステージに上り切れるか…、その構想の仕上がり具合の差が、最終的に“ネーミング”の差となって現れるのです。だからこそ、独自路線の成長にとって“ネーミング”は大切なことなのです。

 

御社の事業に独自な“ネーミング”になっていますか?

御社の商品名はその思想を表現していますか?

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