【第184話】ブランド戦略を成功させる企業と成功できない企業の違い

「高収益化に向けて新事業の構築や既存事業の再構築をお手伝いしています」とお伝えすると、「ブランド化みたいな?」と聞かれることがあります。

 

この方が「ブランド化」という言葉をどういった意味でお使いかによってですが、当たっているようでもあり、当たっていないようでもあります。

 

あえてそう申し上げているのは、昨今、「ブランド化」が単なる販売の手口かのごとく乱用される風潮にあるからです。

 

ブランド化やブランディングというのは、いわば企業や商品・サービスについて特定のイメージを持ってもらうことです。

 

ブランドの始まりは家畜につけた焼き印と言われており、こうすることで、類似する他の商品・サービスとの違い、あるいは区別を進め、認知度の向上を通じて購入頻度や購入価格を上げてもらおうという狙いがあるわけです。

 

ところが、そういった取り組みの多くが、成功の日の目を見ることなく沈んでいきます。

 

それもそのはずなのです。そもそも論として「商品・サービスや自社をどう知ってもらうか?」を自分たちでも良く分からないまま、そういった表面的な手口に走っているからです。

 

こんな姿勢で現状と対峙して商売が好転するはずのないことは、社会人3年目までに知っておくべきビジネスの基本といえるでしょう。

 

ですから、「ブランド化の手順はパッケージデザインとストーリー付けです」などという姿勢は、商売をナメてるか、あるいはお客様をないがしろにしているか、このどちらかでしかないほどの愚策ということです。

 

良く考えていただきたいのですが、世の中には、あまたの企業があります。その企業たちが心血を注ぎ続けてきた商品・サービスがあります。そして、それぞれの企業が威信を賭けてご自身の存在を発信しようとしているのです。

 

そんな中で――、ということです。この程度の手口を披露してしまえば、お客様からどう見えるかということです。

 

「私たちは偽物です」、「これは二流品です」、「モノがイマイチなので背景まで含めて大目に見てください」と言っているに等しいということです。

 

当たり前ですが、ブランドというお客様の頭の中での存在感というのは、一朝一夕にできることではありません。ましてや、そもそも「どう知ってもらうのか」さえお客様任せの状態にあって、そんな存在感を構築できるはずもありません。

 

商売を真に成功させようとするならば、本質部分での勝負が欠かせません。他社との違いをどう表現するか…と考える前に、まずは自社の意志が問われていると心得るべきでしょう。

 

そして、ビジネスがビジネスとして成立していくために大切なことは、お客様の「共感」などではなく「購入」だということです。

 

そもそも、お客様の購買プロセスとして、「イメージで覚えてもらってからご購入いただく」という順番は、中小ベンチャー企業には存在しません。

 

要は、大企業のブランド戦略とは商売の型が異なるため、こういった類の手口を中小ベンチャー企業で真似ようとしても、百害あって一利なしなのです。

 

商品・サービスの特徴やそこから得られる便益でご購入いただく。当然のことながらブランドイメージとして発信すべきも、お客様が購入可能な「具体的なモノ」でなければなりません。

 

そういった意味で、発信すべきブランドイメージというのは限りなく「購入後のイメージ」に近いものといえるでしょう。

 

例え今はまだビジネスが小さかったとしても、強い主張を持って、そのビジネスの世界感の「正統な先駆者」としての立ち位置を築き上げようとしていくことが大切です。

 

威信を賭けて立ち位置を表明していますか?

お客様への具体的な便益で覚えてもらおうとしていますか?

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