【第176話】売れる商品開発に欠かせない「新・商品3層概念」

とある企業の新商品、加工食品としてこれまでにない新たな切り口で、間もなく正式に発売が開始されます。

 

この商品のウリは、「元気の源」として知られるある成分が、従来よく知られていた商品の約4倍も含まれているということ。おそらく、世界で最もその成分を多く含む食品でしょう。

 

もちろん、そのウリを中心にパッケージもデザインし、テスト販売や商談会では、なかなかの反応を取り付けています。

 

つまり、この新商品を買うお客様は、「元気生活」を実現するための新しい“道具”を買うのです。

 

我々がビジネスとして提供する製品・商品・サービスというのは、突き詰めて考えれば、お客様にとっての、何らかの“道具”でしかありません。

 

製品・商品なら分かりやすいですが、例えば旅館業といった無形性の強いサービス業であっても、売っているのは「心と体の癒し」や「思い出づくり」であったり、「旅行者同士の絆を深める」であったりする訳です。

 

このように、業種・業態が同じ商売であっても、考え方次第で売りモノは全く違ってきます。

 

“道具”と言われれば、釣り道具、キャンプ道具、ゴルフ道具…、どれも創意工夫に富んでいますが、昨今のウェルネスブームで面白いのがスポーツジムの“道具”類です。

 

昨今、「ファンクショナルトレーニング」と呼ばれる体幹やバランス感覚を中心に、敏捷性や柔軟性を向上させて機能的な動ける体をつくる…といった切り口のトレーニングが人気です。

 

そのトレーニングコーナーには、マシンやバーベルといったゴッツイ系とは様相が異なり、ボール、マット、ロープ…、といったライトな“道具”が並びます。

 

例えば、ボールですが、「バランスボール」は大きくてフワフワでバランスを保ちにくいため、その上で動くと体幹が鍛えられるというものです。「メディシンボール」は、小さくて重いボールで、投げたり、振り回したりと、重いモノを持って動くことでトレーニングを促進します。

 

このように、一口に「トレーニング用のボール」と言っても、様々、全く異なる“道具”な訳です。

 

そして、面白いのが「バトルロープ」。簡単に言ってしまえば運動会の綱引きの重いヤツです。このロープの中心を柱などに固定して、ロープの端を手で持っていろいろと振ることで全身運動を行います。

 

「バトルロープ」と名前が付いているために、斬新な新商品?な感じがあるものの、すごく簡単に言ってしまえば「重いロープ」です。

 

これを販売する営業マンが「重いロープを作ったんですけどいかがでしょうか?」と説明したところで果たして売れるでしょうか?

 

使い方やその効果を説明しなければ売れるはずなどないことは、容易に想像がつくことです。売っているモノは決して「ロープ」ではないからです。

 

経営の世界では、その昔から「製品3層モデル」、「商品3層概念」のように、中核機能、商品実体、付帯機能サービスという3つの層で売りモノを捉えてきました。ですが、今の足りてる時代、これでは通用しなくなっています。

 

弊社では、こういった従来的な概念を拡張し「新・商品3層概念」として、商品開発における3つの不可欠要素、「モノ」、「使い方」、「その効用」を設定するようお伝えしています。そしてこれらを使って販売を組み立てます。

 

足りてる時代にモノを売ろうとしているのです。販売拡大を願うならば、お客様が手に入れたい状況に対して、今よりも効果的な方法を提供しなければなりません。

 

御社の新商品は何のための“道具”ですか?

その“道具”の「使い方」や「その効用」まで準備していますか?

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