【第174話】本物の成長発展をもたらす“敬意”ある売上の保ち方

売上が伸びるというのは、お客様からのご賛同の証でもあり、大変に嬉しいものです。特に、「この商品が欲しい」、「御社にお願いしたい」と、指名買いされた時などは商売人冥利に尽きる瞬間でもあります。

 

指名買いが嬉しいのは、主に価格以外の要因でご購入いただいているということです。

 

こんな機能よく考えたな、この品質は素晴らしい、秀逸なデザインだ、ここまで休まずに、こんなにコツコツと続けてきたのか…、価格以外の要因は様々ありますが、これらを一言で表すならば、何らかの“敬意”だということです。

 

“敬意”のない売上は、いずれ価格競争に巻き込まれます。

 

商売を強く永く続けていくために保つべきは、お客様からの“敬意”を伴う売上です。単に価格・安さで売れたような“敬意”なき売上は永く続くものではありませんし、何よりも利益を生まないため、未来を拓くことはないと歴史が物語っています。

 

商売というのは売る方と買う方で成り立っています。よく「お客様は神様です」といった三波春夫節を聞くことがありますが、これは「神様の前のような心で唄うために、お客様を神様と見立てて唄う」という意味であって、お客様自体を神様と崇めているのではありません。

 

ですが、仕事の実態とは「お客様のために働く」ことであり、もう少し補足するならば「いずれは自分たちのために働く、だからこそまずはお客様のために働く」ということです。物事がこの順番でしか成り立たないことを、多くの先人たちが教えてくれています。

 

売買とは等価交換であって、「この人たちは本気でお客である私たちのために働いている」と思えるから、売上に“敬意”という成長スパイスを振りかけてくれるのです。

 

この“敬意”を生むためには、まず売り手である自分たちが「どんなお客様のために働きたいか」を考えなければなりません。

 

誰かれ構わずお役にたてるはずもありませんから、自分たちがお役に立ちたい方を考えることが大切です。

 

これは、いわゆるマーケティング論における、セグメンテーションやターゲッティングといったプロセスで「顧客を絞る」のとは全く異なるものです。

 

そして、そのお客様のためには、他の誰よりも自分たちがお役に立てる、という自負を創り上げるほど考えなければなりません。

 

この“考える”という先行投資が、逆説的に聞こえるかもしれませんが「自分たちが生かされるためにお客様のために働く」という文脈を成り立たせるための入口なのです。

 

大口の受注ともなると、売上や利益、財務状況、資金繰り、実績や知名度など、売れた後のことが脳裏をちらつき、「この受注、絶対欲しい」と思ってしまいがちです。

 

ここが勝負の分かれ目です。つまり「売りたい」と考えた時点で、相手のことを考えていないのです。まずは、徹底的に相手の立場に立って考えることから外れてはなりません。

 

売りたい…と思ってしまった瞬間に、お客様との大切な会話は無くなり、割引、接待、リベート…といった「買ってもらうための条件闘争」に堕ちてしまいます。

 

“敬意”ある売上を実現するための商談において大切なことは、売り手も買い手も同等の立場であり、お互いにその立場から絶対に下りてはならないという点です。

 

同等の立場として扱っていただくためには、お客様のことをしっかりと考えて商談に臨んでいることが大切ですし、それこそが、先行投資というリスクテイクの姿勢でもあります。

 

このリスクを取ってくれている、自分たちのリスクを一緒に背負ってくれていると思うからこそ、お客様もこちらを同等の立ち位置にある取引先として取り扱ってくれるのです。こういった信頼感に基づく相互関係というのは、小手先の契約獲得術などで構築できるものではありません。

 

商談にあっては、「自分たちのことを思うならば、まずお客様のことを考える」ことです。目指すは「単なる売上」ではなく、「“敬意”ある売上」なのですから。

 

御社の売上は“敬意”あるものになっていますか?

“敬意”ある売上の実現に向けて、お客様のことを考えていますか?

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