【第165話】資金不足という妄想から抜け出して新事業を始める方法

「〇〇というビジネスを始めたいんだけど資金が足りない」というお話をお聞きすることがあります。

 

そういった状況になっているということは、何か準備を進めてきて、限りなく営業開始に近いところまで来ているということですから、その準備努力には頭の下がる思いがします。

 

確かに「資金さえ調達できればビジネスが始められる」感じがします。立地の良いところに営業拠点を構えたり、立派な工場を建てたり、オシャレなお店を開いたり…。

 

ですが今、もしそう考えているならば、その考えを一旦疑ってみることをお勧めします。

 

どういうこと…?という方のために質問です。「新たにビジネスを開始するというのは、どういうコトですか?」と。

 

「資金が不足している」と考えている方の場合、「この設備がなかったら作れないんです」、「売るためにはお店が必要なんです」とおっしゃいます。

 

ではさらにお聞きします。「それは、その設備があれば誰にでも作れるのではないですか?」、「お店があればお客様が来て買ってくれるのですか?」と。

 

工場や販売場というのは、確かに事業を運営していくために必要なピースかもしれません。ですが、事業から生まれる利益そのものは、生産設備や店舗自体が生み出すものではないという点に考えが至っていないことについてお伝えしています。

 

事業とは、経営者の頭の中で考え出された付加価値のことであり、それこそが事業の“本丸”だということです。

 

この“本丸”を実体化させるために生産設備が必要であったり、現金化するために販売場が必要であったりする訳です。

 

そういえば、まだ「新たにビジネスを開始するというのは、どういうコトですか?」という質問に答えていませんでした。

 

新たなビジネスを開始するとは、「お客様に買っていただける“本丸”を準備すること」に他なりません。

 

大切なことなのでもう少し説明すれば、新たなビジネスを始めるというのは、“本丸”を準備することであって、作る・売るについて自社でどこまで持つか…というのは、核となる議論ではなく、運営体制づくりの範囲の問題だということです。

 

資金が足りない…という文脈の問題は、作れさえすれば、売る場所さえあれば…と、“本丸”の強度不足をおカネで補おうとしている態度にあります。

 

“本丸”の強さこそが事業の収益力であって、その強さが十分であれば、その“本丸”自体を売ることさえ可能です。

 

旅館の運営能力が“本丸”であれば、何も自社で旅館を持たずとも、運営を受託することで事業になり得ます。製品アイデアと設計が“本丸”であれば、製造を委託してメーカーになることだってできます。商品知識に長けていることが“本丸”ならば、店舗を持たずともWebで販売することの方が向いていることさえあります。

 

「足りてる時代」というのは最終消費だけのことではありません。生産設備や販売場を含めて足りているということです。足りているというより余っているのです。そんな中で御社までそこにおカネを使いますか…、とお伝えしたいのです。先に稼いで、それから持っても遅くはありません。

 

多分、その新事業はいいところまで来ているのです。だからこそお伝えしたいのです。最後、もう一ひねりするのは、お財布ではなくて頭の方だと。

 

その一ひねりを、後になって手元資金の減少と戦いながらやるか、今のうちにやっておくか。どちらが合理的な判断かは、これ以上言うに及ばないでしょう。

 

その資金不足…は本当に資金の不足ですか?

“本丸”の弱さを資金で補おうとしていませんか?

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