【第159話】本物の成長発展に欠かせない社長の仕事
もし、「社長の仕事とは?」と聞かれたら、どうお答えになるでしょうか?
何やら哲学的な質問ですから、真面目に答えようかどうしようか―― なんて思いながらも、確かに自分の仕事は何なのか―― と思ってみたり。社長であればちょっと気になる質問ではないでしょうか。
これは、普段の社長との会話の中で折に触れて出てくることでもあります。ぜひ、ちょっと考えてみてください。そして、何とお答えになりますか?
例えば、責任を負うこと、理想を追い求めること、技術を高めていくこと、従業員・スタッフに働いてもらうこと、計画を立てること、業務を仕組化すること、お客様に謝りにいくこと、銀行に話を着けてくること…。
「それが私の仕事だから」などと、少し冗談含みだったり、皮肉っていたり、愚痴に近かったり。
いつも「そうだよな…」と思いながら、日々次々と起こる様々な問題・課題に対応されていることに頭が下がる思いで、お話をお聞きします。
まず申し上げておけば、弊社では社長の仕事を「仕事を創る」ことだと考えています。仕事そのものを創る――というのが社長の根源的な役割だという意味です。
つまり、今あるビジネスを動かしていくだけでは足りなくて、次の一手を考えていかなくてはならないということでもあります。
そして、「仕事を創る」という仕事を果たしていくために必要な行動は何かというと、とてもシンプルな答えに行き着きます。
「考える」ことです。
例えば、とある既存事業の再構築プロジェクト。トップ3をメンバーとして、それぞれ分担しながらタスクをこなしつつプロジェクトを進めていました。
どこかメンバー間で「そっちでよろしく感」が漂いながら進んでいましたが、トップから「これは私が考えないとダメだな」との発言があってからは、プロジェクトの雰囲気が一変し、発展的な方向へと、どんどんと加速していきました。
トップの「分かった。俺が考える」は、社長にとってのキラー・フレーズです。この一言は、組織にピリッとした空気感を生み出します。
また、とある新事業プロジェクトで、社長がポロっとおっしゃった言葉が、今でもクッキリと思い出されます。
「スタッフも今の仕事だけでは満足していない。だけど今の仕事をしながら新しい仕事をカタチにする自信も時間も足りない。だから、私が仕事になるところまで作り上げて、彼らに渡してやりたいんだ」と。
この社長は、全国を忙しく飛び回りながらも、既存の事業でも次々と成果を出されている方。「仕事を創る」という社長の仕事から、逃げず、目を背けず、真剣に取り組んでおられます。胸ポケットにいつも忍ばせている「メモ帳」からは、「考える」ことへの本気度がにじんでいます。
「こんなこと、良く考えたな」は、社長にとって最高の誉め言葉だとお感じになられる方は多いはず。そう感じる理由はとてもシンプルです。それが社長の仕事だからです。
考えようとするから独自の道が拓ける。考えようとしなければ他人が創ったビジネスに便乗するしかない。時間が経っても道が拓けていかないのは、ご自身で見据えた道ではないから、先が見えないのです。
他人に便乗している限り、おカネにはなっても尊敬にはなりません。これは、至極当然の因果関係です。ですから、独自の経営、本物の成長発展を目指すならば、まず「仕事を創る」ことにむけて「考える」ことに意識を持たなくてはなりません。
もう他人の創ったビジネスに便乗するのはやめませんか?
ご自身にしかできない仕事を本気で創りませんか?