【第154話】優れた社長に共通する他社の社長の話の聞き方

「〇〇まで行って、××社長の話を聞いてきます」というお話を良くお聞きします。

 

話をする側の社長も、お忙しい中であっても、こういったご要望になるべく応えようとしてくださいます。そして、自社の成長の秘訣を惜しげもなくご披露下さいます。

 

経営を成長発展の軌道に乗せておられる社長ともなれば、「御社にお伺いしてお話を聞かせていただきたい」、「講演に来ていただきたい」…といったお声がけが多数寄せられます。

 

経営者が他社の経営のお話を聞きたいと欲する気持ちは、そこに共通する苦労が存在することを考えれば、自然な欲求といえます。

 

むしろ、「他社は他社、ウチはウチの道を行く」などと、一見カッコいいことを言いながら、他社のことに全く気を向けない不勉強な経営者がいたとすれば、その経営が今時点で神様レベルの仕上がりでない限り、いずれ時間とともに傾いていくこととなるでしょう。

 

そういった場に居て分かるのは、「社長のお話」を聞く社長の姿勢、聞き方には大きく二つの要素があるということです。

 

まず一つ目は、「やり方」に関するものです。例えば「採用に向けたインターンシップのやり方」、「海外研修生制度の使い方」、「ホームページ・SNSの活用法」、「資金調達に向けた銀行との交渉術」、「社員教育の良い教材」…といった類の話しです。

 

要は、目の前で起こっている特定の課題について、どう対応するかという方法論についての情報収集ということです。これは、どうやるか(How)に関することなので、自社に持ち帰ってすぐに使えるタイプの情報です。

 

もう一つは、「考え方」に関するものです。「会社を導いていくにあたり大切にしていること」、「新事業のアイデアへどうやって至ったのか」、「財務に対する基本姿勢」…といったことです。

 

すなわち、社長として、どういった考え方をしてそれを決めるに至ったのか――、が聞きたいというものです。その決定に至った思考回路が知りたいのです。これらは、なぜそう考えたのか(Why)に関することです。

 

「考え方」のお話は、それを聞いたうえでご自身でそのお話をかみ砕き、自分流に再構築し直さなければ使えません。ですから、「やり方」のお話と比べて即効性には乏しいものの、こちらのお話の方が経営においては重要だということはお分かりいただけるものと思います。

 

つまり、経営者の仕事とは“決定”であり、「なぜそう決めたのか」という理由こそが、表からは垣間見ることができない経営の本質だからです。

 

表からでは見ることができない「考え方」、その“決定”に至った思考回路こそ、成功法則として社長が知りたいことであり、学びの本質部分だということです。

 

これまで、数百人という経営者の方々にお話をお伺いする中で、あるいは経営者勉強会といった中でハッキリと分かることがあります。

 

それは、「やり方が聞きたい社長」と「考え方が聞きたい社長」がいるということです。

 

経営にはどちらも必要ですが、これこそが経営を伸ばす考え方の差、経営の成否を分かつ意識の持ち方の違いということです。

 

経営経験が浅かったり、経営に対する意識が低い場合、社長の意識は「やり方」止まりです。「Facebookとインスタ、どっちがいいですかね?」といった意識で、経営が根本的に持ち上がりますか?ということです。これこそが経営が伸びない真因だということに早く気づかなければなりません。

 

一方で、本質的かつ中長期的に成長を実現されていく社長は、お話をしてくださる社長の「考え方」を読み解こうとします。

 

お話をお聞きしてご自身で考えるという苦悩のプロセスを覚悟しておられるのです。それが「考え方」を学ぶということの唯一のアプローチだということを重々分かっておられます。

 

この差が経営にとって、どれだけの差をもたらすか、説明には及ばないでしょう。

 

「社長の話」から「考え方」を聞こうとしていますか?

「やり方」以上に「考え方」を大切にしていますか?

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