【第151話】単純化して考える社長と単純に考える社長の行く末の違い

劇的な高収益を実現されていたり、着実に成長過程をたどっている社長にその秘訣を聞くと、「やっぱり…」という共通点があります。

 

それは、不思議なほどに単純明快な答えが返ってくるという点です。

 

さらに、その単純明快な答えは、競合他社との違い、選ばれる理由、高付加価値の構造…、になっています。

 

聞いてしまえば単純ですが、「なるほど~」と膝を打つその着眼を生むまでに、どれほどの努力をされたのかということに思いを馳せれば、その努力に頭が下がる思いがします。

 

それと同時に、その単純明快な答えはとても概念的です。概念的というと分かりにくいかもしれませんが、考え方といえば想像していただけるものと思います。

 

これでもまだ分かりにくいと思いますので補足すれば、例えば「二口目においしいオムライス」といった感じです。「飽きない美味しさのオムライス」のことをこう表現しているのです。

 

一方、残念なシェフの場合、オムライスの美味しさを、〇〇卵や××米といったブランド銘柄などで表現していたりします。

 

このウリ文句の問題は、「そのオムライスであれば他の誰でも作れるでしょ」ということですし、「なぜその素材を選んだのか」という次の疑問に移ってしまうだけです。

 

では、「なぜ、その素材を選んだのですか?」とお聞きしたとしたならば、概ね「美味しくて有名なんです」、「地元産なんです」、「希少なものです」といった答えが返ってきます。これでは、まだ何も答えになっていません。

 

もうお気づきかと思いますが、ご自身のビジネスを単純に考えてしまっている社長は、ビジネスというものを、スキルやオペレーションのレベルでとらえてしまっているのです。

 

これは、お客様もその程度だと考えているに等しいというメッセージになってしまっていることに気づくことが大切です。

 

少し考えていただきたいのですが、お客様が来ないレストランで、お皿を変えたり、おしぼりを出したりするだけで、お客様は増えますか?ということです。

 

素材、お皿、調理法…、すべてはお店としての基本的な思想があって、その下でお客様視点で一貫性を持って準備されるからこそ、それら一つ一つの力が相まって一つの大きな力となるのです。

 

一方、単純化して考えている社長は、お客様が欲しいと感じるそのポイントをシンプルに捉え切って表現した上で、それを実現してく複雑で高度な事業モデルを構築しています。

 

実体的に考えれば、高収益なビジネスというのが単純なはずがありません。そのビジネスを動かしていくとなれば、技術、規格、法令、お客様の事情、価格設定、業界慣習…、とてもややこしくて、まどろっこしいことが付いて回ります。

 

ですが、こういったことを従業員と一緒に実現していくために、その旗印として単純化された概念を用いて、号令を掛けているのです。

 

単純に考えている社長のビジネスは、オペレーションレベルの違いですから、すぐに他社に真似されます。

 

一方、単純化して考える社長のビジネスは、概念的には単純であっても、それを実現している仕組みは、とても高度で努力改善が蓄積されたものであると同時に、さらにその先を走っていくため、分かったとしても模倣しきれるものではありません。

 

その結果は明白です。3年しか持たないビジネスを次々と渡り歩いていくか、10年以上にわたって独自の成長発展を遂げていくか…、極めて大きな差を生んでいきます。

 

御社のビジネスはシンプルかつ強力な概念に支えられていますか?

オペレーションレベルの選択を、他社との違いだと思ってしまっていませんか?

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