【第114話】売れない・儲からない理由とその対応手順
体重計はいつしかヘルスメーターと呼ばれ、体重を代替指標として健康状態を測るためのツールになっています。
喫茶店はカフェになり、コーヒーの提供に留まらずオシャレな空間やライフスタイルを提供しています。
車屋はそれぞれに合ったカーライフを、旅行会社は体験を通じた想い出を、専門学校はスキル向上を通じた就職力を売っています。
足りてる時代、自社は何を売っているのか。。。そこに意識が届いているかどうかが、売れる・売れないの分水嶺といえます。
つまり、「モノ」を売るだけの商売に留まってしまっているのか、お客様が欲しい「結果」を売るところまで意識が及んでいるかどうかということです。
御社が提供する製品・サービスというのは、お客様にとっては何らかの「結果」を得るための道具・手段に過ぎません。
製品・サービスの機能や特徴だけを説明するに留まっている企業というのは、「当社は手段を売っている会社なので、それを使った「結果」にまで何かを言う立場にありません」と宣言しているに等しいということです。
「当社は○○できます」とまでしか言わない企業と、「当社は○○を通じてお客様の××を目指します」とまで言う企業が在ったらどちらを選びますか、ということです。
完全に「結果」を売ることを約束できなかったとしても、そこに意識を持っていくことは、お客様に対して強烈なメッセージを放ちます。
それは、「私共は「結果目標」を共有できるパートナーです」というメッセージです。
メッセージを発して「経営発展のパートナー」と見られるか、メッセージを発せず「仕入れ先の出入り業者」と見られるか。。。売っているモノは同じであっても、お客様との関係が全く違うという意味で、似て非なるビジネスと言っても過言ではありません。
ただし、こういった「結果」を売る表現が有効な事業とそうでない事業があります。それは事業の類型によります。ここでいう事業類型は、売上・利益の創り方でざっくり大きく二つに分けられます。
一つ目の類型は、不足していることが誰の目にも明らかな社会問題的な課題の解決を事業と考える「問題解決型」です。この「問題解決型」は、予め解決すべき問題がハッキリしており、解決手段はある程度明確です。
この場合、問題を抱えるお客様が調達しようとするのは限りなく仕様化された「手段」なので、その「手段」の提供者として仕様を満足するかという契約履行の信頼性が見られます。ですから、手段となる「モノ」を売るという事業スタンスが比較的合いやすいといえます。
ところが、「問題解決型」は、お客様にとってあまりにも必要不可欠になりすぎると儲からない、という特徴を持ちます。人は必要すぎると支払い意欲が沸かないのです。むしろ、何でこんなことにお金を支払わなければならないのか。。。とさえ考えています。
つまり、「問題解決型」は、例え売れたとしても利益を出すのはなかなかに難しい事業といえます。
二つ目の事業類型は、お客様の目指す目標や愉しさといった“欲しい”を一緒に創っていくという「欲求達成型」の事業です。これは問題解決型の市場のように顕在化してハッキリと見えてはいないものの、確実にしかも普遍的に存在する市場です。
この事業は、必要性に対して売るのではないため、お客様に提供する「結果目標」まで売り手側で創らなければならず、事業構築は大変ではありますが、しっかりと仕上げて売れさえすれば利益が出しやすい事業です。
「欲求達成型」は能力やモノを直接売るというよりは、これらにお客様の「結果目標」を付してから売ることです。「結果目標」は「用途」と考えてもらうと分かりやすいかもしれません。
御社の事業は「欲求達成型」を目指していますか?
御社の製品・サービスに「結果目標」を付していますか?